作家東野圭吾の2大人気シリーズといえば、探偵ガリレオシリーズと加賀恭一郎シリーズ。
福山雅治、阿部寛という超人気俳優主演でメディア化され、原作ともども大変な人気を誇っています。
ところが、加賀恭一郎シリーズはドラマ・映画で新参者シリーズとも呼ばれており、原作加賀恭一郎シリーズとの関連性はあるのか?どれから観れば(読めば)良いのか?といった意見もあるようです。
そこで今回はその加賀恭一郎シリーズをまとめて紹介していきます。
なお、東野圭吾といえばもう一つ『ガリレオシリーズ』が有名です。同じように原作と映像化作品を以下の個別記事で整理していますので、よろしければどうぞ⇩
「加賀恭一郎シリーズ」とは
まずは新参者シリーズの前に、原作の加賀恭一郎シリーズとは?から始めます。
『加賀恭一郎シリーズ』(かがきょういちろうシリーズ)または『加賀シリーズ』(かがシリーズ)は、東野圭吾による日本の推理小説のシリーズで、『卒業』を始めとする、刑事の加賀恭一郎を主人公としたミステリーシリーズ。
加賀恭一郎を主人公とした、ミステリーシリーズであるというところが重要ですね。
2018年3月現在、シリーズは全10巻となっています。
「加賀恭一郎シリーズ」はどれから読めばいい?
計10冊ある本シリーズですが、基本は1冊ごとに事件は解決します。ですので厳密には順番(刊行順)を遵守せずとも読めますが、やはり時系列や個々の登場人物の背景等を理解出来ると、より面白く読めると思います。
ということで、あくまで刊行順にシリーズを読むことをおすすめします。以下、順番通りに紹介していきます。
1.『卒業』
シリーズ第1作目は、加賀恭一郎の学生時代のお話です。
刑事になる前の、大学時代の加賀の姿が描かれています。
同じ大学の仲間である牧村祥子が遺体で発見されます。発見時の状況から自殺が濃厚ですが、加賀は祥子の日記を元に、仲間と真相究明に乗り出します。
この作品は東野圭吾作品全体でも初期のものにあたり(1986年刊行)、近年のものと比べると描写や表現に粗さが感じられます。トリックも正直うーん・・・という感じではあります。
ですが、その後の刑事時代の加賀を語る上では本作は外せないでしょう。加賀恭一郎シリーズとしては必読です。
2.『眠りの森』
シリーズ2作目、本作では加賀は警視庁捜査一課の巡査部長として登場します。無事卒業、就職を果たしていますね。
容疑者は女性バレエ団員、バレエ団の事務所内で画家が殺害された事件を担当することになった加賀。
やがて起こる第二・第三の殺人。犯人はバレエ団員なのか。そして加賀の恋の行方は。
加賀の不器用で、でも誠実な心が垣間見れます。
3.『どちらかが彼女を殺した』
シリーズ第3弾にして、犯人が特定されないシリーズの第1弾(笑)です。
この小説では、ある殺人事件に対して容疑者が2人に絞られますが、2人の内どちらが殺したのか、バイネームで語られません。
読者は小説内に落ちているヒントを拾い上げ推理することになります。本格派ミステリーでよくある読者への挑戦に似てますね。
と言いつつ小説の最後に推理の手引きがついているのですが、これを読んで分かれば鋭い方なのではないでしょうか・・・
ヒントは背理法ですかね。これ以上はネタバレになるので本編を読むかネタバレサイトを参照ください。
警視庁捜査一課から練馬署勤務になっている加賀がどう事件に絡むかも見ものです。
4.『悪意』
シリーズ第4弾、加賀は警視庁捜査一課に戻っています。
本作は一風変わって第一人称で物語が進みます。しかも加賀だけでなく関係者の視点であったり、更にそれが手記という形だったりします。
読み進めると程なく犯人は分かるでしょう。この小説において重要視されているのは動機なのです。
5.『私が彼を殺した』
出ました、犯人が特定されないシリーズ第2弾です。
今回は容疑者が3人と、第1弾に比べパワーアップしています。
3人ともが、事件のあと「私が彼を殺した」と密かに述懐するというカオスっぷり。
読者側から見ても犯人を特定するのはかなり難しくなっています。こういった手法は好き嫌いがはっきり分かれますね。
6.『嘘をもうひとつだけ』
シリーズ第6弾にして、初の短編集です。
タイトルにもなっている「嘘をもうひとつだけ」他4編を収録しています。
7.『赤い指』
シリーズ7作目、加賀が練馬署として携わる事件はこれが最後です。
本作では加賀の従兄弟であり捜査一課刑事である松宮脩平や、看護師の金森登紀子など、以降のシリーズに登場するキャラクターが初登場します。特に松宮刑事は加賀の父を慕っており、加賀家の家族関係にもガンガン踏み込んできます。この辺りの詳細が判明するのは、、もう少し先の事ですが。
肝心の事件はミステリー要素はほぼ無いですが、家族とはという壮大なテーマについて考えさせるような濃い内容です。
ネプチューンの名倉さんが良いことを仰っているので引用させていただきます。
「親の子に対する愛情は無償だからこそ、考えなくてはならない愛情があるのでは、愛情の掛け方でこんなにも深い闇が出来るのかと考えさせられた」
そう、キーとなるのは闇です。愛情って方向を間違えてしまうとフォースのダークサイドばりの深い闇が生まれてしまうんですね。
8.『新参者』
シリーズ8作目、本作より加賀は日本橋署に勤務しています。
小伝馬町のマンションで一人暮らしの40代女性が絞殺されるという事件を解決していくのですが、本作は構成がユニークかつ秀逸です。
第1章「煎餅屋の娘」、第2章「料亭の小僧」といったように事件と直接関係の無い周辺人物を章ごとにメインに据え、彼らの視点から加賀の捜査の意図が見えてきます。加賀が小さな謎や食い違いをひとつずつ解いていくことによって、次第に事件の全貌が明らかになっていくという流れです。
また加賀の過去も少しずつ明らかになっていきます。なぜ捜査一課にいた加賀が所轄勤務になったのか。その理由が本作では明かされることになります。
9.『麒麟の翼』
シリーズ9作目、加賀は引き続き日本橋署勤務です。
タイトル『麒麟の翼』は日本橋の中央に位置する麒麟像の事を指しており、ここで被害者が発見されるところから事件は始まります。
お馴染みとなった加賀・松宮両刑事も捜査に加わり、事件解決を目指していきます。
本作は『赤い指』の家族の在り方と、『新参者』の下町人情の両方の要素を併せ持っています。
10.『祈りの幕が下りる時』
シリーズ10作目です。今回は加賀の母親が初登場します。
彼女が失踪した理由が明かされ、また加賀が所轄勤務に拘る理由にも触れられるなど、シリーズの中で大きな転換期を迎えています。
また本作は2013年に発表されたのですが、原発作業員の労働環境に関する問題提起が含まれていたりと、東日本大震災の影響を色濃く受けています。
11.『希望の糸』
シリーズ11作目、3年の時が経ち、加賀は捜査一課に復帰をしています。
加賀も出てきますが今作はサブ的な立ち位置で、主役は松宮刑事です。
松宮の家庭に関する話も絡めて、家族とはというテーマを扱った一冊となっています。
ドラマ「新参者シリーズ」とは
さて、作家東野圭吾による小説「加賀恭一郎シリーズ」については上述の通りとなりますが。続いてはそれらを原作としたドラマ「新参者シリーズ」にスポットを当てていきます。
実は「加賀恭一郎シリーズ」は今までも何回かドラマ化されてきました。初回はなんと1993年、『眠りの森』が土曜ワイド劇場でドラマ化されており、かなり歴史があります。ちなみにこの時の加賀役は山下真司さんでした。
それから時を経て2010年、加賀役に阿部寛さんを迎えて『新参者』がTBS系の日曜劇場で連続ドラマ化されます。
以後、阿部寛さん主演の加賀恭一郎シリーズがいくつかスペシャルドラマ・映画化されていますが、これらを総称して「新参者シリーズ」と呼ばれています。
事件の内容など、基本的には原作に沿った内容ですが、キャラクター設定は少し違っています。
溝端淳平演じる松宮修平や、黒木メイサ演じる青山亜美あたりが相違点でしょうかね。
と言いつつも軽い色付け程度なので、原作「加賀恭一郎シリーズ」の読者にも受けがよく、映画も大ヒットしております。
「新参者シリーズ」はどれから観ればいい?
さて、連続ドラマ・スペシャルドラマ・映画と跨って映像化されている本シリーズですが、こちらは発表順が原作と異なります。
すでに原作を読んでいる方は、ドラマの発表順に観れば良いということになりますが、未読の方にとっては難しいところです。
原作は順番含め上述しておりますので、ここではドラマの発表順に紹介していきます。
シリーズ①『新参者』(連続ドラマ)
ここからはサクサクいきます。まずはシリーズ1本目『新参者』
今や名作揃いのTBS系「日曜劇場」で2010年に連続ドラマ化されました。
シリーズ②『赤い指〜『新参者』加賀恭一郎再び!』(SPドラマ)
シリーズ2本目は2011年に2時間ドラマの枠で放送されました。
『麒麟の翼』の映画化も決まっており、波に乗っていましたね。
シリーズ③『麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜』(映画)
2012年にシリーズ初の映画化がされました。
これだけ、唯一Amazonプライム対象になっていましたので、ぜひこちらからご覧ください。
シリーズ④『“新参者”加賀恭一郎「眠りの森」』(SPドラマ)
赤い指に続く2時間ドラマの第2弾。
石原さとみさんがヒロインを演じています。
シリーズ⑤『祈りの幕が下りる時』(映画)
『麒麟の翼』に続く劇場版の第2弾
「新参者シリーズ」はこの『祈りの幕が下りる時』を持って終了となっています。
終わりに
阿部寛さん主演の「新参者シリーズ」は終わってしまうようですが、原作は今後も続いていくはずです。
今後も新刊が楽しみであると同時に、また次なる加賀恭一郎を迎えて映像化されるかもしれません。
個人的には阿部寛の加賀がはまり役だったので、イメージできないですが・・・
他にも警察小説は面白いシリーズがたくさんありますので、ぜひこちらもご覧ください。
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