今回は堂場瞬一による人気警察小説「刑事・鳴沢了シリーズ」をまとめてみます。
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「刑事・鳴沢了シリーズ」とは
祖父は”仏の鳴沢“、父親は”捜一の鬼“。祖父から3代続く生まれながらの刑事鳴沢了を主人公とした警察小説です。
どんな時も刑事であることを忘れず、ストイックに犯人を追いかける孤高の刑事。
「刑事として生まれてきた」と言い切るほどの誇りを持って捜査に当たる鳴沢了の姿が人気を呼んでいます。
「刑事・鳴沢了シリーズ」はどの順番で読むべきか
鳴沢了はその信念ゆえに周りとぶつかることも少なくありません。その結果左遷を味わったりと一冊ごとに所属部署が変わったりします。
事件は一冊ごとに完結しますが、周辺人物や所属部署での関係など、順番がかなり重要なシリーズですので、その辺を抑えつつ紹介していきます。
シリーズ①『雪虫』
シリーズ1作目は故郷の新潟で起こる事件を担当します。鳴沢了は新潟県警捜査一課所属。
湯沢で起こった殺人事件を担当するため、所轄である魚沼署に捜査本部が立ちます。捜査本部長を務める魚沼署の署長は鳴沢宗治、了の父親でした。
捜査が行き詰まる中、了は50年前の事件と関わりがあるのではという考えに行き着きます。そして最後には衝撃の結末が-。
『雪虫』ではシリーズ前半のキモとなる父親との確執に触れられているだけでなく、東日新聞記者の長瀬や新潟県警の刑事たちなど、その後のシリーズにも複数回登場する人物たちが多いので必ず抑えるべき一冊でしょう。
シリーズ②『破弾』
シリーズ2作目、了は警視庁多摩署刑事課に配属されています。
※新潟県警から警視庁管轄の所轄へ所属が変わった経緯は実際に読んでみてのお楽しみの方が良いでしょう。
若干干され気味だった了は、ホームレス襲撃事件の担当に回され、同じく孤立していた同僚の小野寺冴と事件の調査に当たります。
ようやく事件を担当することになった了ですが、現場へいくと被害者のホームレスが失踪していました。
奇妙な事件の行方に加え、過去に闇を抱える了と冴のコンビの行方からも目が離せません。
シリーズ③『熱欲』
シリーズ3作目、本作では青山署生活安全課勤務となっています。
過去2作の刑事課勤務で扱っていた殺人や傷害事件からガラッと変わり、マルチ商法による詐欺事件を担当することになります。
慣れない事案に戸惑う了、加害者が被害者にもなりうるマルチ商用は全容が掴みにくく、捜査は難航します。
そんな時、匿名の情報提供者が現れ、大物詐欺師やニューヨークのチャイニーズ・マフィアの存在が浮かび上がってくることで事件は動きます。
本作では了の大学時代の親友内藤七海とその妹内藤優美が初登場します。どちらも今後のシリーズにおける重要人物です。
シリーズ④『孤狼』
シリーズ4作目では青山署刑事課勤務、晴れて刑事課に戻っています。
そんな中、1人の刑事が自殺し、別の刑事が失踪するという事案が発生します。
本庁の沢登理事官から本事案を調査するよう特命を受けた了は、練馬北署の今(こん)という巨漢の刑事とコンビを組み、捜査に当たります。
刑事の死は本当に自殺なのか、失踪した刑事の行方は、、謎は深まり、更に「十日会」という謎の集団も事件に関わってきます。
冒頭の伏線が後半に回収される際の演出が好きです、個人的にはシリーズ1の良作。
シリーズ⑤『帰郷』
確執が続いていた父親の病死により、久しぶりに故郷の新潟を訪れた了。葬儀の翌日に1人の青年鷹取正明が了の元を訪ねてきます。
鷹取は15年前の殺人事件の被害者の一人息子でした。更にその事件は了の父親が担当し、未解決のまま葬儀の日に時効を迎えていたのです。
鷹取から事件の再調査を依頼された了は、忌引休暇を利用して捜査に当たります。
時効を迎えた事件、犯人を追う了のモチベーションは唯一父が解決出来なかった事件を解決したいという想いでした。
シリーズ⑥『讐雨』
シリーズ6作目、東多摩署刑事課に異動した了は、連続少女誘拐事件の捜査からの帰り道、自動車爆破事件に巻き込まれます。
その後爆破犯から、誘拐事件の犯人の釈放を要求する脅迫状が届きます。
爆破犯にたどり着くことは出来るのか、要求を飲み誘拐犯を釈放するのか、そんな中2度目の爆破が起こってしまいます。
シリーズ⑦『血烙』
シリーズ7作目はなんとNY市警勤務!と言っても異動ではなく研修中の了。
そんな折優美の息子勇樹がバスジャックに巻き込まれてしまいます。
再び見え隠れするチャイニーズ・マフィアの存在。勇樹を救うため、そして了と七海の宿敵マシンガン・トミーを追って了はニューヨーク、アトランタ、フロリダとアメリカ中を爆走します。
シリーズ⑧『被匿』
シリーズ8作目、NY市警の研修から戻った了は西八王子署勤務となります。
西八王子署は警視庁管轄の中でも最も田舎で事件も少ない所轄の一つ。その管内で地元代議士が橋から落ち死亡するという事件が発生していました。
事故と断定する刑事課だが、了は1人地道な聞き込みを続け、事件当時代議士と言い争っていた女がいたことを突き止めます。
事故なのか自殺なのか他殺なのか、、捜査を進める内に了はシリーズお馴染みのあの人に行き当たります。
サブキャラのあの人をこうやって使うとは、、着眼点が面白い一冊です。
シリーズ⑩『疑装』
シリーズ9作目も引き続き西八王子署勤務の了。
管内で言葉を喋らない少年が保護されたと聞いた了は病院へいきますが、その少年は勇樹に似ており、更に日系ブラジル人でした。
少年の父親がひき逃げ死亡事故を起こしブラジルへ帰国していると知った了は、群馬へ向かいます。
シリーズ⑨『久遠(上・下)』
シリーズ10作目は初の上下2冊の長編。引き続き西八王子署勤務です。
ある日青山署の捜査員が了の元を訪れ、いきなり前夜のアリバイを求めてきます。
昨夜会っていた情報提供者が殺されたことで、殺しの疑いをかけられた了。手がかりは情報提供者の「ABC」という言葉。自信の疑いを晴らせるか-。
終わりに
「刑事・鳴沢了シリーズ」には外伝があるので、最後に紹介しておきます。
シリーズ外伝『七つの証言』
短編集ですが、内藤七海や小野寺冴など、周辺人物の視点から鳴沢了という刑事が描かれています。
シリーズは全て了の第一人称で描かれていたので、とても新鮮で面白いです。
また、別シリーズの高城賢吾との共演もあるのでファンにはたまらない一冊となっています。
以上、「刑事・鳴沢了シリーズ」まとめでした。
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