今回は米澤穂信の人気シリーズである推理小説「古典部シリーズ」を紹介していきます。
このシリーズは第1作『氷菓』の刊行が2001年と中々歴史が古いのですが、世に広く認知がされたのは2012年のアニメ化からではないかと思います。その後のコミック版も含めメディアミックス化され、今では大人気シリーズとなりました。
アニメ『氷菓』は「京都アニメーション」による制作です。「京都アニメーション」は素晴らしいアニメを数多くこの世に送り出しています。是非以下記事をご覧ください。
「古典部シリーズ」を語る上で上記のメディアミックス化は外せません。原作の小説だけでなく、アニメと原作の結びつきも含めて紹介していきます。
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「古典部シリーズ」とは
文化系部活動が活発なことで有名な進学校・神山高校で「古典部」という廃部寸前の部活に入部した男女4人が、学校生活に隠された謎に挑む、「日常の謎」に分類されるシリーズ。基本的に、主人公であり探偵役でもある折木奉太郎の一人称で語られる。
wikipediaより引用
「日常の謎」に分類されるということで、殺人などの凶悪犯罪は起こりません。探偵役の奉太郎が探偵役となり「日常の謎」を解き明かしていくストーリー展開で、本格ミステリにカテゴライズされます。
「古典部シリーズ」全作品の順番とアニメとの関連性を紹介する
①『氷菓』
いつのまにか密室になった教室。毎週必ず借り出される本。あるはずの文集をないと言い張る少年。そして『氷菓』という題名の文集に秘められた三十三年前の真実―。何事にも積極的には関わろうとしない“省エネ”少年・折木奉太郎は、なりゆきで入部した古典部の仲間に依頼され、日常に潜む不思議な謎を次々と解き明かしていくことに。さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリ登場!第五回角川学園小説大賞奨励賞受賞。
「BOOK」データベースより引用
著者米澤穂信のデビュー作でもある本作品がシリーズの1作目となります。冒頭でも触れましたが、日常生活における些細な謎を状況分析に長けている主人公が解き明かしていくというもの。殺人が起こらない、いわゆるライトミステリです。
この1冊だけだとライトノベル感が拭えないというか、著者の他作品を読んでいる方は特に物足りなく感じてしまうと思います。ただこのシリーズは作品を追うごとに面白くなります。ここは辛抱しましょう。
アニメでは第1話〜第5話に相当します。
②『愚者のエンドロール』
「折木さん、わたしとても気になります」文化祭に出展するクラス製作の自主映画を観て千反田えるが呟いた。その映画のラストでは、廃屋の鍵のかかった密室で少年が腕を切り落とされ死んでいた。誰が彼を殺したのか?その方法は?だが、全てが明かされぬまま映画は尻切れとんぼで終わっていた。続きが気になる千反田は、仲間の折木奉太郎たちと共に結末探しに乗り出した!さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリの傑作。
「BOOK」データベースより引用
シリーズ第2弾は夏休みの古典部が舞台、ミステリ映画の結末を推理するという変わった題材です。古典部以外のサブキャラも登場し、伏線もしっかり回収し、ライトノベルよりの作品ではあるものの、しっかりまとまっているなという印象を受けます。
アニメでは第8話〜第11話に相当します。
③『クドリャフカの順番』
待望の文化祭が始まった。だが折木奉太郎が所属する古典部で大問題が発生。手違いで文集「氷菓」を作りすぎたのだ。部員が頭を抱えるそのとき、学内では奇妙な連続盗難事件が起きていた。盗まれたものは碁石、タロットカード、水鉄砲―。この事件を解決して古典部の知名度を上げよう!目指すは文集の完売だ!!盛り上がる仲間たちに後押しされて、奉太郎は事件の謎に挑むはめに…。大人気“古典部”シリーズ第3弾。
「BOOK」データベースより引用
主人公らが通う神山高校の文化祭(通称:カンヤ祭)中に発生した連続盗難事件「十文字事件」の解決に古典部が挑むというストーリー。全3日間の出来事が時系列に語られていくが、過去2作品が奉太郎の語りのみだったのに対し、今作は古典部4人が語り手となり、それぞれの視点からストーリーが展開されていきます。個人的には3作目から本格的に面白くなるなという印象を受けました。
アニメでは第12話〜第17話に相当します。
④『遠まわりする雛』
省エネをモットーとする折木奉太郎は“古典部”部員・千反田えるの頼みで、地元の祭事「生き雛まつり」へ参加する。十二単をまとった「生き雛」が町を練り歩くという祭りだが、連絡の手違いで開催が危ぶまれる事態に。千反田の機転で祭事は無事に執り行われたが、その「手違い」が気になる彼女は奉太郎とともに真相を推理する―。あざやかな謎と春に揺れる心がまぶしい表題作ほか“古典部”を過ぎゆく1年を描いた全7編。
「BOOK」データベースより引用
シリーズ第4弾は、古典部の1年間を描いたシリーズ初の短編集となります。過去3作品の合間の出来事が描かれているので、アニメ版ではこの短編たちが隙間隙間に入り込んでいるような形です。以下に順番を記載します。
1.「やるべきことなら手短に」:アニメ版第1話に相当
2.「大罪を犯す」:アニメ版第6話に相当
3.「正体見たり」:アニメ版第7話に相当
4.「心あたりのある者は」:アニメ版第19話に相当
5.「あきましておめでとう」:アニメ版第20話に相当
6.「手作りチョコレート事件」:アニメ版第21話に相当
7.「遠まわりする雛」 :アニメ版第22話(最終話)に相当
⑤『ふたりの距離の概算』
春を迎え高校2年生となった奉太郎たちの“古典部”に新入生・大日向友子が仮入部する。千反田えるたちともすぐに馴染んだ大日向だが、ある日、謎の言葉を残し、入部はしないと告げる。部室での千反田との会話が原因のようだが、奉太郎は納得できない。あいつは他人を傷つけるような性格ではない―。奉太郎は、入部締め切り日に開催されたマラソン大会を走りながら、心変わりの真相を推理する!“古典部”シリーズ第5弾。
「BOOK」データベースより引用
古典部メンバーが2年生となり、新メンバーも加わり新たな1年が描かれます。奉太郎が神山高校のマラソン大会「星ヶ谷杯」を走りながら推理をするという他には無いストーリー展開となっています。ちなみに5作目からはアニメ版範囲外となります。
⑥『いまさら翼といわれても』
神山市が主催する合唱祭の本番前、ソロパートを任されている千反田えるが行方不明になってしまった。夏休み前のえるの様子、伊原摩耶花と福部里志の調査と証言、課題曲、ある人物がついた嘘―折木奉太郎が導き出し、ひとりで向かったえるの居場所は。そして、彼女の真意とは?(表題作)。奉太郎、える、里志、摩耶花―“古典部”4人の過去と未来が明らかになる、瑞々しくもビターな全6篇!
「BOOK」データベースより引用
第4弾に続く2冊目の短編集です。メンバーの過去に触れる中でそれぞれの心情がより深く描かれており、青春小説としても面白く読めるでしょう。全6編は以下の通りです。
1.「箱の中の欠落」
2.「鏡には映らない」
3.「連峰は晴れているか」
4.「わたしたちの伝説の一冊」
5.「長い休日」
6.「いまさら翼といわれても」
アニメ「氷菓」を紹介する
続いては2012年に京都アニメーションによりアニメ化された「氷菓」です。アニメから入ったという人も多いでしょう。当時はかなり話題になりましたからね。
特徴としては、①原作に驚くほど忠実である点。そして②えるたそが可愛い点。でしょう。①は基本設定ももちろんですし、上でも述べましたが順番を刊行順から時系列に並べ替える徹底っぷりです。②は特に言うこと無いです。京アニの作画は素晴らしい!ということで是非アニメをご覧ください。
終わりに
今回は米澤穂信の原作に焦点を当てましたが、アニメ/コミックともにクオリティが高いのが「氷菓」あるいは「古典部シリーズ」の特徴でもあります。是非原作を知らない方は原作を読み、あるいはアニメ版は見たことないという方はアニメをご覧ください。
「古典部シリーズ」は奉太郎たちが卒業するまで続くと言われています。また新作が出たら更新していきたいと思います。
最後に、ミステリー系の記事を以下で紹介して結びとします。
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