この記事では、エラリー・クイーンの大人気シリーズ「国名シリーズ」を紹介していきます。
作品一覧や読むべき順番、更にはその他おすすめシリーズの紹介まで幅広く書いておりますので、是非最後までご覧ください。
エラリー・クイーンの「国名シリーズ」とは
エラリー・クイーンの数あるミステリーの中でも高い評価を得ている「国名シリーズ」。
この「国名シリーズ」も含めてですが、推理小説家であるエラリー・クイーンとその父であり警視のとリチャード・クイーンのコンビが登場する、いわゆるエラリー&クイーン警視ものとしてシリーズとなっています。
その中でも1作目から9作目までの9作品は、ほぼ全てのタイトルに国名が含まれている点や、読者への挑戦状が含まれている点などからファンの中でも特に評価が高いです。
エラリー・クイーンの「国名シリーズ」読む順番を紹介
「国名シリーズ」は全部で9作品ですが、エラリー&クイーン警視ものトータルとしては30作品を超えます。刊行順に並べると以下のようになります。
1.ローマ帽子の謎
2.フランス白粉の謎
3.オランダ靴の謎
4.ギリシア棺の謎
5.エジプト十字架の謎
6.アメリカ銃の謎
7.シャム双生児の謎
8.チャイナ橙の謎
9.スペイン岬の謎
—–↑ここまでが「国名シリーズ」↑—–
10.中途の家
11.ニッポン樫鳥の謎
12.悪魔の報復
13.ハートの4
14.ドラゴンの歯
15.災厄の町
16.靴に棲む老婆
17.フォックス家の殺人
18.十日間の不思議
19.九尾の猫
20.ダブル・ダブル
21.悪の起源
22.帝王死す
23.緋文字
24.クイーン警視自身の事件
25.最後の一撃
26.盤面の敵
27.第八の日
28.三角形の第四辺
29.恐怖の研究
30.顔
31.真鍮の家
32.最後の女
33.心地よく秘密めいた場所
34.間違いの悲劇
読む順番としては、まずは刊行順に「国名シリーズ」を読み進めるのが良いでしょう。「国名シリーズ」以降ももちろんおすすめですが、中でも『災厄の町』や『九尾の猫』などが特におすすめです。
「国名シリーズ」を読むならどの出版社か、違いとおすすめを解説
クイーンの「国名シリーズ」は過去に幾度も翻訳がされており、文庫本では創元推理文庫、ハヤカワ・ミステリ文庫、角川文庫といくつもの出版社から出版されています。特に創元推理文庫は旧訳・新訳があるので非常に悩ましいです。
加えて、出版社によって『〜〜の謎』、『〜〜の秘密』とタイトルが微妙に異なるので、内容は一緒なのか?どの文庫版を読めばいいのか?と混乱してしまいます。
好みもあるかとは思いますが、初めて「国名シリーズ」を読む読者には角川文庫(翻訳:越前敏弥,青木創)版をおすすめします。ちなみにタイトルが異なるのは翻訳の違いであり、内容は同一です
おすすめする理由は何と言っても丁寧な翻訳です。タイトルを『〜〜の秘密』と変えてしまうことからもいかに気合が入っているのかが分かりますが、従来一部の読者からアンフェアとされてきた読者への挑戦状が、伏線部分の翻訳の分かりづらさによるものだとし、細部にまでこだわった丁寧な翻訳がされているのがこの角川文庫版なのです。
またこれは主観かもしれませんが、、他の文庫版と比べて多少読みやすく感じました。この点からも初めて読む読者にはおすすめ出来ると考えます。
一方で、上の画像を見ても分かる通り、表紙が完全に今風となっています。。古くからのミステリーファンの中にはこの表紙自体が受け付けないという読者も一定数いらっしゃるそうで、、そういった方々にはやはり創元推理文庫の新訳が良いのではと思われます。海外ミステリーの翻訳には確固たる実績がありますのでまちがいないです。
余談:クイーンの「国名シリーズ」に影響を受けた新本格派ミステリー
綾辻行人を筆頭に新本格派と呼ばれる作家たちは、一様にクイーンやカーといった本格ミステリーの影響を受けていると言われています。
その中でも特にクイーンの「国名シリーズ」の影響を受けていると思われる2つの作品(シリーズ)を紹介します。
どちらもクイーンに負けず劣らずの面白さとなっていますので、是非これらの国内ミステリーも読んでみてください。
有栖川有栖「作家アリスシリーズ」
日本を代表する新本格派推理小説家の一人、有栖川有栖。彼の作品の中でも評判が高いのが「作家アリスシリーズ」です。大学助教授である火村英生と、推理小説家の有栖川有栖のコンビが事件を解決するシリーズで、ドラマ化もされるなど人気があります。
作品タイトルをみれば一目瞭然なのですが、全て国名が入っているどころかタイトルのつけ方も全く同様で、クイーンの影響が色濃く反映されていることがわかります。
〜「作家アリスシリーズ」の「国名シリーズ」一覧〜
1.『ロシア紅茶の謎』
2.『スウェーデン館の謎』
3.『ブラジル蝶の謎』
4.『英国庭園の謎』
5.『ペルシャ猫の謎』
6.『マレー鉄道の謎』
7.『スイス時計の謎』
8.『モロッコ水晶の謎』
9.『インド倶楽部の謎』
10.『カナダ金貨の謎』
「作家アリスシリーズ」の中に「国名シリーズ」が点在しており、クイーンのようにまとまっているわけではないので順番が少々ややこしいです。
「国名シリーズ」以外も含め、「作家アリスシリーズ」全体として読み進めた方が良いので、以下の記事を参考にしてください。
法月綸太郎「法月綸太郎シリーズ」
2人目も有名な推理小説家、法月綸太郎による「法月綸太郎シリーズ」です。
こちらは一見すると分からないですが、シリーズのメイン登場人物が、推理小説家である法月綸太郎とその父である法月警視の二人であるという点が、エラリー&クイーン警視ものシリーズと全く同じ設定となっています。
また主人公の名前を自分と同姓同名にしているという点にも影響が見られます(ここは有栖川有栖も同様ですね)。
「法月綸太郎シリーズ」についても個別記事でまとめておりますので、是非ご覧ください。
「国名シリーズ」以外の名作「悲劇四部作」もおすすめ
ここまで「国名シリーズ」について紹介してきましたが、クイーンの中でもう一つ、必読のシリーズがあります。
それはクイーンがもう一つのペンネームであるバーナビー・ロス名義で発表した、探偵ドルリー・レーンを主人公とした「悲劇四部作」です。
その名の通り、4作品からなるシリーズで、特に2作目の『Yの悲劇』は秀逸です。以下が順番となりますので、4作品この順番でお楽しみください。
〜「悲劇四部作」の一覧〜
1.Xの悲劇
2.Yの悲劇
3.Zの悲劇
4.レーン最後の事件(最後の悲劇)
終わりに
エラリー・クイーンの「国名シリーズ」、+αの作品も含めての紹介でした。海外ミステリーについては他にも名作が多数あります。以下の記事も合わせてご覧ください。
コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズシリーズ」はこちらから⇩
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