新進気鋭の若手作家が勢ぞろい!ハルタコミックスのおすすめ漫画10作品を紹介!

ハルタ』という漫画雑誌をご存知でしょうか?

大手出版社のKADOKAWAが1月と7月以外、年10回刊行している雑誌なのですが、ここで連載されている作品が面白いんです。

アニメや小説のコミカライズ作品を一切掲載せずに、新人を中心とした誌面作りを行っていく」ことをコンセプトに掲げており、若手ながら画力が高く、ストーリーと絵の両面で魅せる作品が多いのが特徴だと私は捉えています。

ここではそんなハルタコミックスで連載している(していた)作品から、おすすめ漫画を10作品紹介していきます。

こんな方々におすすめです。

・ジャンプやマガジンなど、王道の漫画雑誌で連載されている作品は読み飽きてしまった
・アニメや小説原作の漫画ではなく、オリジナルの作品を読みたい

「ハルタコミックス」のおすすめ漫画10作品を紹介する

ここで紹介する作品の大部分が電子書籍で読むことが可能です。もちろん紙には紙の良さがありますが、安く買えたり場所を取らなかったりと電子書籍のメリットもあります。是非平行してご利用ください。

1.『昴とスーさん』/完結:6巻

小さなアパートで、人目を避けるように二人暮らしをする澪(みお)と昴(すばる)。歳の離れた姉弟のようにみえる二人だが、昴にはある秘密があった――。前作『紅い実はじけた』で、“ときめきの瞬間”を描いた高橋那津子。新たに描くのは、“変わらぬ愛”の物語。

2022年4月で連載終了となった『昴とスーさん』、タイトルに隠された秘密が明らかになるやいなや、物語の冒頭から引き込まれていく。
悲しき運命を背負う昴だが、隣には常に恋人の澪がいる。彼女の昴を想う気持ちはその表情にしっかりと込められている。ミステリアスだけれどもどこか切なく、ファンタジーと恋愛のバランスが絶妙である。
ハルタ連載作品ならではとも言える、画力の高さも特徴。さりげない表情で感情を表現出来る人物描写はもちろん、背景描写も素晴らしく、物語に彩りを添える。
昴と澪、そして2人を支える人たちの想いが溢れた、人が人を想う気持ちの尊さを感じられる作品となっている。


 

2.『北北西に曇と往け』/連載中

舞台はアイスランド島、北緯64度のランズ・エンド。17歳の主人公・御山慧には3つの秘密があった。ひとつ、クルマと話ができる。ふたつ、美人な女の子が苦手。3つ、その職業は、探偵――。
あるときは逃げ出した飼い犬を連れ戻し、またあるときはひと目ぼれの相手を探し出す。愛車ジムニーを駆りながら、胸のすくような探偵活劇が、いま始まる!

2016-2020年まで連載の後、姉妹誌である新雑誌”青騎士“に移籍し連載継続中の作品。
アイスランドが舞台となっており、北欧の澄んだ空気が肌で感じられるような綺麗な作画が印象的である。
電化製品の言葉が分かるという特殊な能力を持った主人公を筆頭に、不思議な空気感を醸し出しながら物語が進んでいく。
アイスランドの旅行記かと思う章もあればサブキャラに丸々焦点を当てたスピンオフ的な章もあり、先の展開を予想させない大胆な構成も特徴。


 

3.『煙と蜜』/連載中

花塚姫子12歳、土屋文治30歳。ふたりの関係は「許婚」だった――。西洋のモダンな文化が広がり始めた大正時代。華やかで活気に溢れたその空気の中で、「文治さま」「許婚殿」と呼び合うふたりは、18の歳の差を超え、ゆっくりと愛を育んでいく。

大正時代の名古屋を舞台にした、良家の娘と軍人男性という年の差カップルによるラブコメ漫画。2018年からの連載だが看板漫画の1つとも言える人気を誇る。
娘の姫子は12歳、軍人の土屋は30歳という驚くべき年齢設定なのだが、「年の差」と「時代背景」を存分に生かした”奥ゆかしさ“は他のラブコメ漫画では見られない本作最大の特徴と言えるだろう。
画力も高く、ストーリーもしっかりとまとまっている。土屋の仕草にキュンとさせられる女性読者をメインターゲットとしているのだと思うが、男性でも十分楽しめる作品である。


 

4.『ハクメイとミコチ』/連載中

ハクメイとミコチ。緑深き森で暮らしている、小さなふたりの女の子。木の洞(うろ)に家を造ったり、葉っぱを傘にしたり、昆虫や鳥の背に乗ったり……身長9センチメートルなら、そんな事も出来るのです。愉快で穏やかな、森の日常劇!

小人たちが暮らす世界の日常を描いたファンタジー漫画。
非常に愛らしい小人のキャラクター造形と、対比的に描かれるリアリティを追求したその他の生物(昆虫や動物など)。まるで何人もの絵師が描いているのではないかと思うほどバラエティに富んでおり、クオリティも高い。
ジャンルとしては日常ものに分類され、平坦なストーリー展開ではあるものの、幻想的な世界観がとにかく魅力。アニメ化もされた人気作品である。


 

5.『ホテル・メッツァペウラへようこそ』/連載中

フィンランド・ラップランド地方。吹雪と共にやってきた、謎の刺青青年”ジュン”を迎え入れたのは老紳士たちが営む小さなホテル”メッツァペウラ”だった。

北欧フィンランドの田舎街で2人の紳士が営むホテルに、全身刺青が入った若者がやってくるところから物語は始まる。
この若者は誰なのか?どこからきたのか?物語の軸となる謎にも少しずつ迫りながら、ホテルの従業員と様々な客との関わりを描く、というストーリーである。
人物・背景ともに綺麗なタッチであり、北欧文化にも触れつつ人の温かみを感じることのできる、「素敵な」作品となっている。


 

6.『ヒナまつり』(連載中)

ヤクザ×サイキック少女のアーバンライフ・コメディー!芦川組の若手ホープ・新田の部屋に落ちてきた奇妙な楕円形の物体。それが全ての始まりだった!物体のなかに居たのは、無表情な少女・ヒナ。強力な念動力で新田を脅し、ヒナは新田家に住みつくことに。かくしてヤクザとサイキック少女の危険な共同生活が始まった!

ハルタの前身である『Fellows!』時代の2010年から、10年以上連載されていた人気作品。
ヤクザである主人公の元に超能力を持った少女が現れるところから物語は始まる。SF設定なのだが正体はギャグ漫画であり、繰り出されるギャグが全て質が高く、毎話しっかり笑わせられる。
内容からしてアニメ向きの本作品だが実際にアニメ化されており、これがまたとても良い出来なので、原作の後はアニメもご覧いただくのが良いだろう。


 

7.『ダンジョン飯』(九井諒子)

ダンジョンの奥深くでドラゴンに襲われ、金と食料を失ってしまった冒険者・ライオス一行。再びダンジョンに挑もうにも、このまま行けば、途中で飢え死にしてしまう……。そこでライオスは決意する「そうだ、モンスターを食べよう!」スライム、バジリスク、ミミック、そしてドラゴン!! 襲い来る凶暴なモンスターを食べながら、ダンジョンの踏破を目指せ! 冒険者よ!!

4年連続(2016~2019年)でマンガ大賞にノミネートされた実績を持つ人気マンガ。マンガ大賞以外にも各種賞にノミネートされまくっている。
RPGに出てきそうなダンジョンに潜入する冒険者たちという設定で、彼らが道中で魔物を調理し食すという、その名の通りダンジョン飯をテーマにした作品。
ドラゴンやスライムといった魔物に合った退治の仕方、調理法にフォーカスするというコンセプトが独特で面白いし、物語が進むに連れ”ダンジョン攻略“に重きが置かれるようになり、リアリティが追求されているのも良い。


 

8.『極東事変』/連載中

1945年9月、東京。焼け野原になった街の裏側で、ある戦後処理が行われていた。731部隊による人間兵器、その残党の殲滅である。不死身の少女兵士・砕花(さいか)は、生きて自由を得るため、死神と恐れられた衛生兵・近衛勘九郎(このえ・かんくろう)を部下に、同胞殺しの任に就く。

終戦後GHQ占領下の日本において、復員兵である主人公と、変異体と呼ばれる超人たちとの戦いを描いたアクション漫画。
変異体たちを取り巻く設定はフィクションながら惹かれるものがあり、心臓を撃ち抜いても死なない彼らのアクションシーンは迫力に満ちている。
ハルタには珍しい戦闘漫画であるが絵のタッチは滑らかであり、見辛さを感じることはない。それどころか前述のアクションシーンや銃器の作画などは新人作家とは思えないクオリティ。
戦後を題材にした作品は数多くあれど、フィクションベースに実在のエッセンスを程よく加えたこの作品は、読む人を選ばないのではないかと思う。


 

9.『乙嫁語り』/連載中

美貌の娘・アミル(20歳)が嫁いだ相手は、若干12歳の少年・カルルク。遊牧民と定住民、8歳の年の差を越えて、ふたりは結ばれるのか……? 『エマ』で19世紀末の英国を活写した森薫の最新作はシルクロードの生活文化。馬の背に乗り弓を構え、悠久の大地に生きるキャラクターたちの物語!

『北北西に曇と往け』と同じく、姉妹雑誌”青騎士”への移籍組。19世紀後半の中央アジアカスピ海周辺の地域を舞台にした歴史漫画。
12歳の男に嫁入りした20歳の「乙嫁」を中心にその時代を生きた人々の生活を描いた作品であるが、細部まで細やかに描かれた彩り鮮やかな漫画である。キャラデザや背景は絵が綺麗という言葉で片付けるのはもったいないくらいの完成度。
ストーリーとしては歴史的な出来事が起こるわけではなく、どちらかといえばほのぼのとした日常を切り取った時代漫画と言えるが、当時の社会情勢が反映されたような慎ましい人々の暮らしがしっかりと描かれている。


 

10.『瑠璃の宝石』/連載中

宝石やアクセサリーが好きな女子高生ルリが、山へ川へ洞窟へ、鉱物採集の世界に飛び込んでいく。鉱物学を修めた作者の確かな知見に基づく、本格サイエンスアドベンチャー!

宝石好きなJKが水晶に魅せられ、偶然出会った大学院生の凪とともに鉱物採集をするようになる、というストーリー。
流行りの女子高生×オヤジ趣味と括ってしまえばそれまでだが、鉱物や地政学の知識に溢れているばかりか、学びの大切さや発見の面白さといった、科学の醍醐味を教えてくれる貴重な教材となっている。
「ごく普通の人間でも、人類の知る世界に直接手を加える」第1巻のセリフからは、研究活動に対するリスペクトも感じられる。著者が元理科教師と知り納得の作品である。


 

コメント

タイトルとURLをコピーしました