推理小説界の”M-1″「日本推理作家協会賞」歴代受賞作からおすすめ30作品を厳選紹介!

その年に発表された推理小説の中で最も優れていたものに与えられる」ミステリー界で最も歴史の長い文学賞である「日本推理作家協会賞」。その歴史の長さから推理小説として最も権威のある賞とも言われており、江戸川乱歩による1947年の創設から今日まで名称を変えながらも(※)70回以上続いています。

(※)第1回(1948年)から第7回(1954年)までは探偵作家クラブ賞、第8回(1955年)から第15回(1962年)までは日本探偵作家クラブ賞、第16回(1963年)以降は日本推理作家協会賞と名前を変えて続いている。

この記事では、そんな日本推理作家協会賞、歴代の受賞作品から、おすすめを30作品紹介していきます。

なお30作品に限定しておりますが、これはあくまで私のお気に入りや、思い入れの強い作品を厳選しております。ここで紹介している/していないが作品の優劣を判断するものではありませんので、予めご了承ください。

またここに紹介する作品の大部分が電子書籍で読むことが可能です。もちろん紙には紙の良さがありますが、安く買えたり場所を取らなかったりと電子書籍のメリットもあります。是非平行してご利用ください。

日本推理作家協会賞受賞作品おすすめ30選!!

作品を紹介する前に、今回のおすすめ作品の紹介の仕方についてご説明します。

1.紹介する順番は受賞が早い順

2.紹介する作品は長編25作品、短編5作品

是非最後まで読んでいただけると幸いです。

・第1回:『本陣殺人事件』/横溝正史

江戸時代からの宿場本陣の旧家、一柳家。その婚礼の夜に響き渡った、ただならぬ人の悲鳴と琴の音。離れ座敷では新郎新婦が血まみれになって、惨殺されていた。枕元には、家宝の名琴と三本指の血痕のついた金屏風が残され、一面に降り積もった雪は、離れ座敷を完全な密室にしていた……。
「BOOK」データベースより引用

あの金田一耕助シリーズの始まりとなった初登場作品であり、1946年に刊行された本作は戦後ミステリの黎明期を代表する作品でもある。
日本家屋では再現不可能と言われた密室殺人を扱ったという点でも非常に価値が高く、ガストン・ルルーをはじめ、ドイルやカーなど欧米のミステリに影響を受けている様子が作中から見て取れる。
また作品全体に漂う重く仄暗い雰囲気は、「本陣」という田舎ならではの古い伝統が背景にあるが、これは『八つ墓村』や『犬神家の一族』など、後の金田一シリーズ作品共通の特徴とも言える。


 

・第2回:『不連続殺人事件』/坂口安吾

戦後間もないある夏、詩人・歌川一馬の招待で、山奥の豪邸に集まったさまざまな男女。作家、詩人、画家、劇作家、女優など、いずれ劣らぬ変人・奇人ぞろい。邸内に異常な愛と憎しみが交錯するうちに、世にも恐るべき、八つの殺人が生まれた!不連続殺人の裏に秘められた悪魔の意図は何か?鬼才安吾が読者に挑んだ不滅のトリック!多くのミステリ作家が絶賛する、日本推理小説史に輝く傑作
「BOOK」データベースより引用

純文学界にもその名を轟かす坂口安吾の、推理小説家としてのもう一つのデビュー作。
心理の足跡というトリック、一つ一つの事件の足跡から推理を組み立て、真犯人を究明していく論理性は非の打ち所がない。
序盤は登場人物の多さに、中盤は登場人物の下衆さに苦心するかもしれないが、それを超えてたどり着きたいと思わせるラストが待ち受けている。
高木彬光と法月綸太郎両氏による解説も、当時の時代背景や著者の才能を語っている。本編とあわせて貴重な読み物として楽しんでいただきたい。
なお本作は『Kindle Unlimited』読み放題対象作品である。


 

・第10回:『顔』/松本清張

井野良吉は味のある役者として人気が出、映画出演も決まり幸先のよいことであったが、その幸運は、破滅へと近づくことでもあった(「顔」)。出張先から帰らない夫の身を案ずる信子は、従弟の俊吉から思いもかけない“夫の裏切り”を聞かされる(「白い闇」)。平凡に穏やかに続く日常生活という仮面をはぎとると、欲にのまれた人間たちの罪と罰がみえてくる。人間の深層心理を捉えたスリリングな恐怖推理小説集。
「BOOK」データベースより引用

社会派推理小説ブームを引き起こし、数々の長編小説を発表した松本清張。彼なしにこの賞を語ることは出来ないとすら言えるが、以外にも短編集で受賞している。
表題作は、9年前に殺人の罪を犯した俳優が、役者として「顔」が売れるかどうか/目撃者に「顔」が割れているかどうかを軸にした作品。
どの作品にも共通して言えることだが、心理描写がとても綿密であること、そして結末が読めないことが魅力である。
合計5作品が収録されているが、当時どの作品を受賞作とするかで選考委員の意見が割れたという。映画化された作品も複数あり、これらの事実からも平均レベルの高さが分かる。


 

・第13回:『黒い白鳥 憎悪の化石』/鮎川哲也

労働争議に揺れる東和紡績の常務令嬢敦子と、労働組合副委員長の鳴海は恋人同士。さながらロミオとジュリエットだが、社長の死を契機に労使間は雪融けを迎えつつあり、二人の春も遠くはない。その気分も手伝ってか、敦子は社長殺しの一件を探偵しようと提案。怪しいと目星をつけた灰原秘書のアリバイ捜査に赴いたバー『ブラックスワン』で、鳴海は事件の鍵を握る人物と出遇う。
「BOOK」データベースより引用

アリバイ崩しで有名な「鬼貫警部シリーズ」。シリーズ3,4作目がそれぞれ『黒い白鳥』『憎悪の化石』に当たり、この2作品で1960年に第13回日本探偵作家クラブ賞を受賞している。ここでは2つの内『黒い白鳥』を紹介する。
時刻表を用いたアリバイトリックと、それを周囲に悟られまいとする犯人の隠蔽工作が、鬼貫警部の真骨頂であるアリバイ崩しによって明らかになっていく。
松本清張の『点と線』よろしく、時刻表トリックは現代で再現するのはかなり難しいだろうが、それでも過去作品の評価を落とすことにはならないと改めて感じる。
またこの作品は解決編も特徴である。犯人自らが真相を吐露し事件の幕を降ろす結末は、エピローグを含めて哀愁を感じさせる。


 

・第27回:『日本沈没』/小松左京

鳥島の南東にある無人島が、一夜にして海中に沈んだ。深海潜水艇の操艇責任者の小野寺は、地球物理学の田所博士とともに、近辺の海溝を調査し、海底の異変に気づく。以降、日本各地で地震や火山の噴火が頻発。自殺した友人を京都で弔っていた小野寺も、大地震に巻き込まれ、消息不明になるが、ある日突然、ナポリの消印がある辞表が会社に届いた。どうやら田所の個人研究所と関係があるようで…。日本SF史に輝くベストセラー。
「BOOK」データベースより引用

SF御三家が一人、小松左京の代表作。当時世間に認知され始めたプレート理論を取り入れ、地殻変動により海底へ沈没していく日本列島を舞台に、祖国を失う国民のメンタリティを奥深く掘り下げたSFエンタメ小説である。
氏の著作には数々の名作があるが、本作はその中でもまるで未来の日本を見てきたかのような先見性が感じられる。
1973年の刊行から半世紀が経つが、50年前の作品とは思えない新鮮かつ重厚な内容で、これまで数多くメディア化されている。


 

・第31回:『乱れからくり』/泡坂妻夫

玩具会社の部長馬割朋浩は降ってきた隕石に当たり命を落としてしまう。その葬儀も終わらぬうちに彼の幼児が誤って睡眠薬を飲んで死亡する。さらに死に神に魅入られたように馬割家の人々に連続する不可解な死。一族の秘められた謎と、ねじ屋敷と呼ばれる同家の庭に造られた巨大迷路に隠された秘密を巡って、男まさりの女流探偵と新米助手の捜査が始まる。
「BOOK」データベースより引用

ある玩具会社の創業一族をめぐる連続殺人を描いた本格ミステリ。タイトルや人物設定からもわかるとおり、機械仕掛けのおもちゃやからくり、またそれらにまつわるウンチクが多く登場する。
オープニングを飾る第一の死は隕石落下による事故死という荒唐無稽なものであるが、次第に連続殺人を匂わせる展開となり、ラストはフェアな本格ミステリにふさわしい結末が待っている。
予想を超えるフーダニット(誰が犯行を行ったか)は最大の魅力であり、また犯人や被害者・容疑者らの心情は作品のタイトルにぴったりとマッチしている。
昭和を代表する名作ミステリであることは間違いないが、メインキャラクターの設定が生かしきれていない点が唯一残念である。シリーズものであれば良かったのが、著者が没した今では望むべくもない。


 

・第33回:『大誘拐』/天童真

三度目の刑務所生活で、スリ師戸並健次は思案に暮れた。しのぎ稼業から足を洗い社会復帰を果たすには元手が要る、そのためには―早い話が誘拐、身代金しかない。雑居房で知り合った秋葉正義、三宅平太を仲間に、準備万端調えて現地入り。片や標的に定められた柳川家の当主、お供を連れて持山を歩く。…時は満ちて、絶好の誘拐日和到来。三人組と柳川としの熱い日々が始まる!
「BOOK」データベースより引用

その名の通り「誘拐」をテーマにした、1978年発表のミステリー。
刑務所で知り合ったコソ泥3人組が、紀州一の大金持ちである老婦人の誘拐を企てる、というストーリー。
人質と誘拐犯の関係性、100億円という途方もない身代金とその受け渡し方法や、犯人と警察の駆け引きなど、どれも他の誘拐を題材にした小説とは一線を画した内容となっており、タイトルにふさわしい壮大なスケールである。
結末も犯人たちの性格をよく反映したストーリーであり、このテーマにしては珍しく非常に後味の良いラストとなっている。


 

・第34回:『戻り川心中』/連城三紀彦

大正歌壇の寵児・苑田岳葉。二度の心中未遂事件で、二人の女を死に迫いやり、その情死行を歌に遺して自害した天才歌人。岳葉が真に愛したのは?女たちを死なせてまで彼が求めたものとは?歌に秘められた男の野望と道連れにされる女の哀れを描く表題作は、日本推理作家協会賞受賞の不朽の名作。耽美と詩情―ミステリ史上に輝く、花にまつわる傑作五編。
「BOOK」データベースより引用

大正時代に活躍し自害した歌人、その真相に友人である主人公が迫る、というストーリー。
菖蒲の花をテーマに作品全体が美しく鮮やかな情景描写に溢れ、また多くの詩から読み取れる歌人の心理描写が叙情的な儚さを醸し出す。純文学として完成されている印象を受ける。
一方で2度の心中に隠された真相を、細やかな伏線を活用しながら暴き出す終盤はミステリーとしても素晴らしいものである。短編ながら洗練された推理小説と言える。


 

・第40回:『カディスの赤い星』/逢坂剛

フリーのPRマン・漆田亮は、得意先の日野楽器から、ある男を探してくれと頼まれる。その男の名はサントス、20年前スペインの有名なギター製作家ホセ・ラモスを訪ねた日本人ギタリストだという。わずかな手掛りをもとに、サントス探しに奔走する漆田は、やがて大きな事件に巻きこまれてゆく…。国際冒険小説の達成点。
「BOOK」データベースより引用

洒落の効いた小気味良い会話に、スリルたっぷりのアクションシーンにひりつく展開。
フリーのPRマンが(上客の後ろ盾があるとしても)これほどの大立ち回りが出来るのか?と首を傾げたくなるような場面も多少あるが、そうした要素を除外しても、日本とスペインの2カ国に跨って展開される重厚なハードボイルド小説としての評価は疑いようがない。
また作中では著者が好むスペインとフラメンコの知識が存分に生かされており、フランコ独裁政権終焉間際のスペインの様子が臨場感を持って描かれている。
直木賞・冒険小説協会大賞と合わせて三冠受賞にふさわしい作品である。


 

・第43回:『エトロフ発緊急電』/佐々木譲

1941年12月8日、日本海軍機動部隊は真珠湾を奇襲。この攻撃の情報をルーズベルトは事前に入手していたか!?海軍機動部隊が極秘裡に集結する択捉島に潜入したアメリカ合衆国の日系人スパイ、ケニー・サイトウ。義勇兵として戦ったスペイン戦争で革命に幻滅し、殺し屋となっていた彼が、激烈な諜報戦が繰り広げられる北海の小島に見たものは何だったのか。山本賞受賞の冒険巨篇。
「BOOK」データベースより引用

第二次世界大戦、日米開戦のきっかけとなった真珠湾攻撃をテーマとした小説。
日系アメリカ人のスパイを主人公に、機密保持を徹底しようとする日本側と、諜報活動により作戦内容を事前に入手せんとするアメリカ側との駆け引きを描いたスパイ小説で、憲兵や特高警察と駆け引きや潜入など緊迫した展開が続く。終盤のロマンスも含めてこれぞスパイものならでは。
細部の出来事については解釈の相違があるだろうが、結末を含めて概ね史実通りの内容となっている。山本周五郎賞とのW受賞。


 

・第44回:『新宿鮫』/大沢在昌

ただ独りで音もなく犯罪者に食らいつく―。「新宿鮫」と怖れられる新宿署刑事・鮫島。歌舞伎町を中心に、警官が連続して射殺された。犯人逮捕に躍起になる署員たちをよそに、鮫島は銃密造の天才・木津を執拗に追う。突き止めた工房には、巧妙な罠が鮫島を待ち受けていた!絶体絶命の危機を救うのは…。
「BOOK」データベースより引用

新宿署に勤務する刑事鮫島を主人公とした警察小説で、日本を代表するハードボイルド小説でもある。
鮫島というアウトローが新宿を舞台に、凶悪犯やヤクザ、果ては警察内部で孤独に闘う様子を魅力たっぷりに描いた作品。
舞台となるのはバブル期の新宿・歌舞伎町。今は無きコマ劇場をはじめ、当時のネオンきらめく歓楽街をイメージしながら読むのも一興。
基本は1冊ごとに事件が解決していく完結型だが、シリーズが進むにつれ見えざる敵の姿が徐々に明らかになっていくため、シリーズ続編も含めて読んでみると良いだろう。


 

・第45回:『時計館の殺人』/綾辻行人

鎌倉の外れに建つ謎の館、時計館。角島・十角館の惨劇を知る江南孝明は、オカルト雑誌の“取材班”の一員としてこの館を訪れる。館に棲むという少女の亡霊と接触した交霊会の夜、忽然と姿を消す美貌の霊能者。閉ざされた館内ではそして、恐るべき殺人劇の幕が上がる!
「BOOK」データベースより引用

『十角館の殺人』をはじめ、奇怪な館で起こる殺人事件を題材にした綾辻行人の「館シリーズ」。本作はシリーズ第5作品目であり、シリーズ最高峰との呼び声も高い名作である。
時計館“という館の名称にちなんだ仕掛け、最後まで結末の読めない巧みなストーリー展開に重厚な謎解きパート。著者の柔軟な発想と綿密なプロットが可能にさせる、まさに極上の本格ミステリーである。
また『十角館の殺人』で登場した江南孝明と探偵である島田潔との会話も、シリーズ通してのファンであれば大いに楽しめる部分であろう。


 

・第45回:『龍は眠る』/宮部みゆき

嵐の晩だった。雑誌記者の高坂昭吾は、車で東京に向かう道すがら、道端で自転車をパンクさせ、立ち往生していた少年を拾った。何となく不思議なところがあるその少年、稲村慎司は言った。「僕は超常能力者なんだ」。その言葉を証明するかのように、二人が走行中に遭遇した死亡事故の真相を語り始めた。それが全ての始まりだったのだ…
「BOOK」データベースより引用

社会派推理小説や時代小説のジャンルで有名な宮部みゆきによるSF要素を絡めたサスペンス小説。
嵐の夜に自らを超能力者と名乗る少年と出会った新聞記者が、不思議な事件に巻き込まれていく。比較的初期の作品ではあるが、人にはない能力を持って生まれてしまった少年の苦悩がとてもリアルに描かれており、この頃から人物描写は健在。
冒頭の書き出しは各レビューでも多く語られているが迫力があり引き込まれる。また作品を通して続く重苦しい展開からは想像が付かないラストの展開も魅力である。


 

・第46回:『リヴィエラを撃て』/高村薫

1992年冬の東京。元IRAテロリスト、ジャック・モーガンが謎の死を遂げる。それが、全ての序曲だった―。彼を衝き動かし、東京まで導いた白髪の東洋人スパイ『リヴィエラ』とは何者なのか?その秘密を巡り、CIAが、MI5が、MI6が暗闘を繰り広げる!空前のスケール、緻密な構成で国際諜報戦を活写し、絶賛を浴びた傑作。
「BOOK」データベースより引用

米英中と日本、世界を股にかけた国際諜報戦に、北アイルランド問題を絡めたスパイ小説。
物語の鍵を握る白髪の東洋人リヴィエラ、各国の諜報部員や地元警察らが彼の素性を追い求める、という流れで物語は進む。
その過程で、ある殺人事件の被害者と加害者、黒幕といった全容が次第に見えてくるストーリー展開も素晴らしいが、何と言ってもこの作品の魅力は登場人物を突き動かす”信念“であり、それを文面から感じることで得られる”臨場感“である。
CIAやMI5,6、日英の地元警察にIRAのテロリスト。立場は違えど皆それぞれの国や組織が掲げる”信念”の元に行動しており、そこには彼らなりの”正義“が生まれるわけである。
日本人の作家が、多くの国・組織に股がる登場人物を巧みに操り、これほど臨場感のある作品を描くことの出来るという事実に感動する。


 

・第47回:『ガダラの豚』/中島らも

アフリカにおける呪術医の研究でみごとな業績を示す民族学学者・大生部多一郎はテレビの人気タレント教授。彼の著書「呪術パワー・念で殺す」は超能力ブームにのってベストセラーになった。8年前に調査地の東アフリカで長女の志織が気球から落ちて死んで以来、大生部はアル中に。妻の逸美は神経を病み、奇跡が売りの新興宗教にのめり込む。大生部は奇術師のミラクルと共に逸美の奪還を企てるが…。超能力・占い・宗教。現代の闇を抉る物語。まじりけなしの大エンターテイメント。
「BOOK」データベースより引用

娘を事故で亡くしたことがきっかけで新興宗教にハマった妻を取り戻す大学教授。これだけも十分長編小説のネタになりそうだが、これが導入部でしかないというのだから驚きである。
フリカの秘境に生きる呪術師を巻き込んだスリリングな冒険小説が待ち受けており、そのワクワク感満載のストーリーが読者の心を掴んで離さない。
また主人公の大生部教授を筆頭にクセの強いキャラクターが多く、彼らのコミカルな会話によって作品のリズムが生まれている点も見過ごせない魅力。
超能力や奇術といった突飛な内容を扱いつつも、民俗学や心理学といったタネと仕掛けのあるトリックであり理解もしやすく、エンタメ作品としての価値向上につながっている。


 

・第50回:『奪取』/真保裕一

一千二百六十万円。友人の雅人がヤクザの街金にはめられて作った借金を返すため、大胆な偽札造りを二人で実行しようとする道郎・22歳。パソコンや機械に詳しい彼ならではのアイデアで、大金入手まであと一歩と迫ったが…。日本推理作家協会賞と山本周五郎賞をW受賞した、涙と笑いの傑作長編サスペンス。
「BOOK」データベースより引用

偽札作りに命をかける若者たちの奮闘を描いたサスペンス。あらすじに「涙と笑いの」とあるように軽快な会話シーンも多く、序盤からのテンポの良さが特徴。
中盤以降は製紙印刷技術の説明描写が続くが、これらは偽札作りの鍵であるが故の必要なシーン。これらの綿密な設定が真保裕一作品の根幹であり、改めて取材力や知識量に感服する。
この中盤があるからこそ、終盤はスピード感と爽快感が感じられる内容となっている。文庫本上下巻で1000ページ近い分量であるが、結果として「長さ」は気にならず読破することが出来るだろう。


 

・第51回:『OUT』/桐野夏生

深夜の弁当工場で働く主婦たちは、それぞれの胸の内に得体の知れない不安と失望を抱えていた。「こんな暮らしから脱け出したい」そう心中で叫ぶ彼女たちの生活を外へと導いたのは、思いもよらぬ事件だった。なぜ彼女たちは、パート仲間が殺した夫の死体をバラバラにして捨てたのか?犯罪小説の到達点。
「BOOK」データベースより引用

1994年に発生した未解決事件”井の頭公園バラバラ殺人事件“から着想を得たと言われる作品。
弁当工場の夜勤を行う平凡な主婦たちが死体損壊と死体遺棄という犯罪に手を染めていく。何より犯罪に至る背景やアプローチなど4者4様の犯罪心理を描き分けていることで、物語へ入り込めるし作品としての軸がぶれることがない。
クライムサスペンスとしての疾走感や恐怖感も抜群、犯罪に加担する主婦たちが狂っていく様子は臨場感たっぷりで、桐野夏生の代表作として申し分ない傑作である。


 

・第52回:『秘密』/東野圭吾

妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美を乗せたバスが崖から転落。妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻だった。その日から杉田家の切なく奇妙な“秘密”の生活が始まった。
「BOOK」データベースより引用

娘の体に死んだ妻の精神が宿る、という極めて現実味の薄いSF設定であるが、本作を上質なミステリーへと昇華させているのは、間違いなく人物描写とストーリー展開の巧妙さである。
主人公である夫、無念の死を遂げた妻、そして肉体を母親に乗っ取られる形となった娘。3者の心理描写・人物造形のバランスが非常によく取れているため、どの立場からも感情移入をする(してしまう)ことが出来る。
加えてラストに隠されたタイトル「秘密」の本当の意味に気付かされた衝撃は、そこに至るまでの過程により、切なさを併せて深く、そして強く読者の胸を打つ。
『放課後』で江戸川乱歩賞を受賞してから10年余り、著者にとって久しぶりの文学賞受賞であり、その後の大ヒット連発のきっかけともなった出世作である。


 

・第53回:『動機』/横山秀夫

署内で一括保管される三十冊の警察手帳が紛失した。犯人は内部か、外部か。男たちの矜持がぶつかりあう表題作(第53回日本推理作家協会賞受賞作)ほか、女子高生殺しの前科を持つ男が、匿名の殺人依頼電話に苦悩する「逆転の夏」。公判中の居眠りで失脚する裁判官を描いた「密室の人」など珠玉の四篇を収録。
「BOOK」データベースより引用

近年では「64」でも話題になった「D県警シリーズ」、本作はその2作目に当たる短編集であり、受賞作である『動機』が表題作となり、他3編が収録されている。
D県警シリーズといえども前作「影の季節」の主人公である二渡や、次作「顔 FACE」の主人公である平野は登場しないので、本作単品として読んで差し支えない。
警察内部の事情や問題を描くというシリーズのコンセプト通り、内部管理していた警察手帳が盗まれる事件を、管理方法を提案した警察官の立場から描く。
窃盗犯は誰なのか?そしてその理由とは?予想のつかない犯人の「動機」、満足度の高い作品となっている。


 

・第55回:『都市伝説パズル』/法月綸太郎

殺人事件の被害者が残した「=Y」の文字は、はたして何を意味するのか!?エラリイ・クイーンへのオマージュである、ダイイング・メッセージものの傑作「イコールYの悲劇」、第55回日本推理作家協会賞受賞作「都市伝説パズル」など、ロジカルな推理が堪能できる本格ミステリ五編を収録した、ファン待望の作品集。
「BOOK」データベースより引用

『都市伝説パズル』は、法月綸太郎シリーズ(詳細は関連記事を参照)の9作品目『法月綸太郎の功績』に収録された短編である。
短編ではあるが、ロジックの積み重ねが明快でありかつ「都市伝説」という題材もうまくハマっている印象。
なお他にもエラリー・クイーンを連想させる『イコールYの悲劇』など4編が収録されているが、どれも面白いので、『法月綸太郎の功績』ごと読んでしまうことをおすすめする。


 

・第56回:『マレー鉄道の謎』/有栖川有栖

旧友・大龍の招きでマレーの楽園、キャメロン・ハイランドを訪れた火村と有栖川。二人を迎えたのは、舞い飛ぶ蝶ならぬ「殺人の連鎖」だった。ドアや窓に内側から目張りをされた密室での犯行の嫌疑は大龍に。帰国までの数日で、火村は友人を救えるか。
「BOOK」データベースより引用

「火村英生シリーズ」「作家アリスシリーズ」などと呼ばれる大人気シリーズの一つ。エラリー・クイーンの影響を色濃く受けており、シリーズの中でも特にタイトルに国名が含まれるものを抜き出し「国名シリーズ」とも呼ばれているが、詳細は関連記事を参照して欲しい。
本作品は、旧友を訪ねマレーシアを訪れた火村とアリスが殺人事件に巻き込まれるというストーリーであるため、地元警察との衝突(通常は警察に助言をする立場である)が少し変わった導入となっている。
それでも火村とアリスのコメディ交じりの会話はいつも通りであるし、旅行中のためタイムリミットがある2人が密室の謎を解き明かす過程は見事であり、長編にふさわしいクオリティの高さとなっている。


 

・第57回:『ワイルドソウル』/垣根涼介

その地に着いた時から、地獄が始まった―。1961年、日本政府の募集でブラジルに渡った衛藤。だが入植地は密林で、移民らは病で次々と命を落とした。絶望と貧困の長い放浪生活の末、身を立てた衛藤はかつての入植地に戻る。そこには仲間の幼い息子、ケイが一人残されていた。そして現代の東京。ケイと仲間たちは政府の裏切りへの復讐計画を実行に移す!歴史の闇を暴く傑作小説。
「BOOK」データベースより引用

棄民とも呼ばれる日本政府に見放されたブラジル移民たちの実態と、日本政府への復讐劇を描いたサスペンス。
序章に当たる1960年代のブラジル移民の描写は暗澹たる気持ちになるが、ここで感情移入をさせることによりその後の疾走感あふれる復讐劇に繋がってくるのだと思う。
恋愛要素やサスペンス要素を入り混じらせ、これしかないという結末に落ち着かせる。爽快感を感じさせるラストに著者の筆力を感じる。
歴史を知ることはもちろん重要だが、復讐劇を報じるメディア側の登場人物である貴子を通して、現代を生きる人が自らの人生に意義や目的を見出すこと、その大切さを発信した作品ではないだろうか。
日本推理作家協会賞に加えて、大藪春彦賞吉川英治文学新人賞のトリプル受賞を果たした傑作。


 

・第57回:『葉桜の季節に君を想うということ』/歌野晶午

「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。そんな折、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たして―。あらゆるミステリーの賞を総なめにした本作は、必ず二度、三度と読みたくなる究極の徹夜本です。
「BOOK」データベースより引用

このミステリーがすごい!第1位をはじめ、2004年のミステリー賞を総なめにした人気作品。
悪徳商法による詐欺疑惑の真相と、登場人物たちの恋愛模様を描いた推理恋愛小説。ジャンルもそうだが、タイトルも人気に一役買っているのは間違いない。
ミステリーとしての鍵は過去と現在を行き来しながら進むストーリー展開と叙述トリック。ラストは賛否両論はっきりと分かれる。
絶対に気づけないという点では不公平さを感じる読者が多いのも頷ける、その事実が示す通り作品としての評価も二分されている。


 

・第57回:『死神の精度』/伊坂幸太郎

CDショップに入りびたり、苗字が町や市の名前であり、受け答えが微妙にずれていて、素手で他人に触ろうとしない―そんな人物が身近に現れたら、死神かもしれません。一週間の調査ののち、対象者の死に可否の判断をくだし、翌八日目に死は実行される。クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う六つの人生。
「BOOK」データベースより引用

対象者を1週間調査し、死亡「」か「見送り」か判断を下す死神の物語。主人公の死神千葉と対象者との関わり合いを描いた連作短編集
対象者に必要以上には肩入れせず、けれど調査は手を抜かない千葉の仕事ぶりと、対象者との距離の置き方が絶妙。あっと驚く仕掛けやユーモアもあり個々のストーリー展開も非常にレベルが高い。
また連作短編集の名の通り個々に独立した物語ではあるものの、ラスト「死神対老女」には1冊の小説のとしての繋がりも見える。


 

・第58回:『硝子のハンマー』/貴志祐介

日曜の昼下がり、株式上場を目前に、出社を余儀なくされた介護会社の役員たち。エレベーターには暗証番号、廊下には監視カメラ、有人のフロア。厳重なセキュリティ網を破り、自室で社長は撲殺された。凶器は。殺害方法は。すべてが不明のまま、逮捕されたのは、続き扉の向こうで仮眠をとっていた専務・久永だった。青砥純子は、弁護を担当することになった久永の無実を信じ、密室の謎を解くべく、防犯コンサルタント榎本径の許を訪れるが―。
「BOOK」データベースより引用

ホラーやSFと異なるジャンルでヒット作を飛ばす著者であるが、彼の手にかかれば”密室“をテーマにした推理小説もお手の物である。
密室状態で発見された遺体の謎に、弁護士と防犯コンサルタントのコンビが挑むというストーリー展開で、少しギャグ要素も混じった2人のやりとりがとても魅力。「防犯コンサルタント 榎本シリーズ」として続編も刊行されている程の人気を誇る大きな要因である。
また物語は二部構成となっており、このコンビが地道に密室解明の検証をしていく第一部から一転して、解決編に当たる第二部では予想外の展開が待ち受けており、章構成の巧みさも光る。
再現性はさておき、大胆さと緻密さを兼ね備えたトリックには衝撃を覚えるだろう。

「防犯コンサルタント 榎本シリーズ」一覧

1.『硝子のハンマー』(2004)
2.『狐火の家』(2008)
3.『鍵のかかった部屋』(2011)
4.『ミステリークロック』(2017)
5.『コロッサスの鉤爪』(2021)


 

・第59回:『ユージニア』/恩田陸

「ねえ、あなたも最初に会った時に、犯人って分かるの?」こんな体験は初めてだが、俺は分かった。犯人はいま、俺の目の前にいる、この人物だ―。かつて街を悪夢で覆った、名家の大量毒殺事件。数十年を経て解き明かされてゆく、遺された者たちの思い。いったい誰がなぜ、無差別殺人を?見落とされた「真実」を証言する関係者たちは、果たして真実を語っているのか?
「BOOK」データベースより引用

17名が命を落とした大量毒殺、数十年後に起きた凶悪事件が関係者へのインタビューや証言といった形で再び描かれる、というストーリー。舞台は金沢市であることが推測される。
推理小説は恩田陸作品としては珍しいが、物語に漂う不気味さや暗さには著者の特色が非常によく現れている。
ポイントとしては、数十年前の事件に関する証言であるため、人々の記憶が必ずしも正確に残存していない点、そして結末が読者に委ねられているという点。
真実は一つとは限らない、と著者自身が描きたかったというグレーゾーンの決着は、読む人がこの作品に何を期待するかによって100%分かれると思う。


 

・第61回:『果断』/今野敏

長男の不祥事により所轄へ左遷された竜崎伸也警視長は、着任早々、立てこもり事件に直面する。容疑者は拳銃を所持。事態の打開策をめぐり、現場に派遣されたSITとSATが対立する。異例ながら、彼は自ら指揮を執った。そして、この事案は解決したはずだったが―。警視庁第二方面大森署署長・竜崎の新たな闘いが始まる。
「BOOK」データベースより引用

数多の警察小説の生みの親である今野敏、中でも圧倒的人気を誇る「隠蔽捜査シリーズ」の第2作品目である。
しいキャリア官僚と呼ばれる管理職の活躍を描いた警察小説「隠蔽捜査」シリーズの第2作。
警察庁所属だった主人公の竜崎警視長が、所轄に左遷されたところから始まる。このシリーズは竜崎が所轄の署長になる本作から加速度的に面白くなる。
原理原則の信念とキャリアとしてのプライドは相変わらずだが、偏屈なキャラに段々愛着が湧いてくるから流石である。
SITとSATの板挟みにあいながらも立て篭り事件の指揮を自ら取る竜崎、どんでん返しの結末は予想を超える面白さ。文体も滑らかで非常に読みやすい。


 

・第62回:『カラスの親指 by rule of CROW’s thumb』/道尾秀介

人生に敗れ、詐欺を生業として生きる中年二人組。ある日、彼らの生活に一人の少女が舞い込む。やがて同居人は増え、5人と1匹に。「他人同士」の奇妙な生活が始まったが、残酷な過去は彼らを離さない。各々の人生を懸け、彼らが企てた大計画とは?息もつかせぬ驚愕の逆転劇、そして感動の結末。「このミス」常連、各文学賞総なめの文学界の若きトップランナー、最初の直木賞ノミネート作品。
「BOOK」データベースより引用

お互いの素性すら知らぬ5人の男女が、ある目的のために詐欺を目論むというストーリー。
あくまで日常を切り取ったような平凡な人物・情景描写の中に非日常が存在する、伊坂幸太郎にも共通するこのアンリアルが本作品最大の魅力であると思う。
登場人物のライトでコミカルな会話により読みやすさが追求されているように感じるが、周到に張り巡らされた伏線の目隠しになっており、それらを存分に生かしたラストの展開は見事という他ない。どこか哀愁を感じさせる結末でもあり、著者の真骨頂は「いやミス」ではないと思わせる作品である。


 

・第64回:『折れた竜骨』/米澤穂信

ロンドンから出帆し、北海を三日も進んだあたりに浮かぶソロン諸島。その領主を父に持つアミーナは、放浪の旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラに出会う。ファルクはアミーナの父に、御身は恐るべき魔術の使い手である暗殺騎士に命を狙われている、と告げた…。いま最も注目を集める俊英が渾身の力で放ち絶賛を浴びた、魔術と剣と謎解きの巨編!
「BOOK」データベースより引用

魔法のあるファンタジーという一見推理小説と真逆のジャンルに、うまくミステリーを融合させている稀有な作品。
中世ヨーロッパを舞台にヴァイキングリチャード王の十字軍など史実を絡めた歴史好きにはたまらない世界設定と、論理と非論理のバランス。
これ以上でもこれ以下でもミステリー×ファンタジーとして破綻してしまうような、絶妙な塩梅となっている。
日常の謎」を得意とする著者であるが、本作に加えて直木賞を受賞した『黒牢城』など、ミステリーと全く異なるジャンルを掛け合わせた作品も非常に素晴らしい。


 

・第69回:『孤狼の血』/柚月裕子

昭和63年、広島。所轄署の捜査二課に配属された新人の日岡は、ヤクザとの癒着を噂される刑事・大上とコンビを組むことに。飢えた狼のごとく強引に違法捜査を繰り返す大上に戸惑いながらも、日岡は仁義なき極道の男たちに挑んでいく。やがて金融会社社員失踪事件を皮切りに、暴力団同士の抗争が勃発。衝突を食い止めるため、大上が思いも寄らない大胆な秘策を打ち出すが…。正義とは何か。血湧き肉躍る、男たちの闘いがはじまる。
「BOOK」データベースより引用

昭和末期の広島を舞台に、違法捜査も辞さない型破りなマル暴刑事と地元ヤクザの奮闘を描いた警察小説。
ヤクザや刑事による荒々しい広島弁の応酬や、男たちの粗暴とも言える作中の行動は、女性作家が書いたとは思えないほど暴力的な迫力に満ちている。
一方でどんでん返しにつながるストーリーテリングは柚月裕子ならではの緻密さが垣間見える。
続巻2巻が刊行されているシリーズものであり、3作目『暴虎の牙』をもって完結している。なお2018・2021年には映画も公開されており、原作に負けないアクションシーンが話題を呼んでいる。

「孤狼の血 シリーズ」一覧

1作目:『孤狼の血』(2015)
2作目:『凶犬の眼』(2017)
3作目:『暴虎の牙』(2020)


 

・第76回:『君のクイズ』/小川哲

『Q-1グランプリ』決勝戦。クイズプレーヤー三島玲央は、対戦相手・本庄の不可解な正答をいぶかしむ。彼はなぜ正答できたのか? 真相解明のため彼について調べ決勝を1問ずつ振り返る三島は──。
「BOOK」データベースより引用

一音も読まれていないクイズ問題に正解することが出来るのか?あるクイズ番組の決勝戦、ヤラセと思われるような展開で敗北した主人公がこの経験したことのない難問に挑む。
クイズの早押しには必然性がある。持っている知識や問題の傾向、クイズ競技に勝つための技術や持つべきメンタルまでもが熱く語られており、クイズの醍醐味を知ることが出来る作品。
もちろんミステリーとしても、上記の命題に対する主人公のアプローチや推論は理路整然としており、それでいて終盤の展開は予想だにしないどんでん返しと魅力が満載の作品である。クイズというライト?なフィールドで凶悪犯罪の起こらない上質なミステリーを楽しむことが出来る。


 

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