世にも珍しいミステリー!川瀬七緒の「法医昆虫学捜査官」シリーズの順番や魅力に迫る!

この記事では、川瀬七緒氏による小説「法医昆虫学捜査官」シリーズを紹介していきます。

川瀬七緒氏は1970年生まれ、文化服装学院の服装科デザイン専攻科を卒業し、子供服のデザインを手がけるデザイナーとして働いています。
小説の執筆を始めたのは結婚後の2007年からで、2011年に『よろづのことに気をつけよ』が第57回江戸川乱歩賞を受賞し、小説家デビューを果たしています。

デザイナーと作家の活動を両立しており、また40代になってからの女性作家デビューということで、このブログでも紹介した柚月裕子氏に通じるところが多いなと感じています。

そんな川瀬七緒氏の代表作と言っても良い「法医昆虫学捜査官」は、2021年現在までで全7作品が刊行される人気シリーズとなっています。ここからはシリーズの特徴や順番などに触れながら、魅力を紹介していきます。

また本シリーズ以外にもおすすめの作品について、記事の後半で触れています。川瀬七尾ワールドにはまった方は是非他の作品も読んでみてください。

 

『法医昆虫学捜査官』シリーズの概要・順番

放火殺人が疑われるアパート全焼事件で、異様な事実が判明する。炭化した焼死体の腹腔に、大量の蝿の幼虫が蠢いていたのだ。混乱に陥った警視庁は、日本で初めて「法医昆虫学」の導入を決断する。捜査に起用されたのは、赤堀涼子という女性学者である。「虫の声」を聴く彼女は、いったい何を見抜くのか!?
「BOOK」データベースより引用

死体に群がるハエやウジといった虫の生態系を調査することで、死亡推定時刻や死亡現場の特定を行うという法医昆虫学。本シリーズはその法医昆虫学を殺人事件の調査に導入しようと試みる警察と、国内法医昆虫学の先駆け赤堀教授の奮闘を描いたミステリーです。

そもそも法医昆虫学は、昆虫学を応用した法科学の一分野のこと。法科学というと、解剖を行い死因などを特定する法医学を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、あくまで法科学の一分野であり、その他にも様々な分野があるのです。

ちなみに、法医学ミステリーといえば中山七里氏の『ヒポクラテスシリーズ』がおすすめです。

『法医昆虫学捜査官』シリーズの順番

冒頭でも述べたように、2012年の「法医昆虫学捜査官」を皮切りに、シリーズは全7編が刊行されています。なおその全てが長編です。

基本的には1作品で事件は完結しますので、読む順番はそこまでこだわる必要はありません。ですが主人公の赤堀涼子と岩楯刑事との関係性に進展があったり、過去の事件が回想されることも少なからずあるので、刊行順に読んでおいたほうが間違いないでしょう。

『法医昆虫学捜査官』シリーズの順番(刊行順)

1.法医昆虫学捜査官(2012)
※改題前タイトル「147ヘルツの警鐘」
2.シンクロニシティ(2013)
3.水底の棘(2014)
4.メビウスの守護者(2015)
5.潮騒のアニマ(2016)
6.紅のアンデッド(2018)
7.スワロウテイルの消失点(2019)

 

『法医昆虫学捜査官』シリーズの特徴・魅力

本シリーズの特徴は色々あるのですが、ここでは大きく3つピックアップします。ネタバレはありませんのでご安心ください。きっと『法医昆虫学捜査官』シリーズが読みたくなるはずです。

1.とにかくグロい

法医昆虫学の特性上、死体に群がる蛆や蝿を調査していくことになるため、必然虫の描写が多くなります。ウジ虫たちが蠢く様子は読むに耐えない部分もあり、ミステリーが好きな方でも虫嫌いであれば心して読む必要があります。

特に主人公である岩楯刑事は事件が起きるたびに解剖に立ち会うのですが、解剖シーンは文字だけで凄まじい迫力があります。個人的には映画化やドラマ化を期待したいシリーズではありますが、このグロテスクさではまず無理でしょう。

2.斬新なアプローチ

虫たちが教えてくれる」というのがもう1人の主人公赤堀涼子の口癖ですが、被害者の死亡推定時刻や犯行現場などを、死体に巣食う虫を調べることによって導き出すというのが法医昆虫学です。

加えて岩楯刑事らが従来の犯罪捜査で拾ってきた情報と組み合わせて事件の真相・犯人に迫るという捜査をしており、これまでのミステリー・刑事小説にはないアプローチの仕方となっています。

3.赤堀涼子と岩楯刑事のコンビ

本シリーズのダブル主人公である、岩楯刑事と赤堀教授。彼らの人間性や2人の掛け合いがとにかく魅力的です。

天真爛漫な性格で昆虫捜査にまっしぐらな赤堀教授と、なんだかんだ言いながら彼女の能力を信じている岩楯刑事。凸凹コンビによるテンポの良いやりとりがこの小説に彩りを加えています。

そして言葉にはしないですが、シリーズが進み解決した事件が増えるたびに、彼らの信頼関係が段々と強固なものになっていく様子が、彼らの心理描写から読み取れるのも素敵です。

 

川瀬七緒作品のおすすめ

ここからは、「法医昆虫学捜査官」シリーズ以外のおすすめ作品を2つほどおすすめします。どれも同じくらいおすすめなので是非手に取ってみてください。

・『賞金稼ぎスリーサム!』(シリーズ)

警察マニアのイケメン、コミュ障な凄腕ハンター、母親想いのくたびれた元刑事、前代未聞の凸凹トリオ!!報奨金の懸かった放火事件、何者かが執拗に攻撃。犯人はとんでもない凶悪犯!?サスペンス&ユーモアミステリー。
「BOOK」データベースより引用

東京都墨田区で起こった放火事件の真犯人を調査して欲しい、という依頼が元刑事に舞い込む。警察マニアと凄腕ハンターとトリオを組んで調査に当たることになる、と言う一風変わったミステリーです。
良い意味で個性的、何処かクセのあるキャラクターたちが、それぞれの特性を生かしながら少しずつ事件の真相に近づいていく過程はドキドキワクワク。
予想の付かない驚きのラストは続編を予想させますが、事実2021年に2作目『二重拘束のアリア』が発表されており、こちらもめでたくシリーズ化しています。

 

・『ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介』

東京の高円寺南商店街で小さな仕立て屋を営む桐ヶ谷京介は、美術解剖学と服飾の深い知識によって、服を見ればその人の受けた暴力や病気などまでわかる特殊な能力を身につけていた。そんな京介が偶然テレビの公開捜査番組を目にする。10年前に起きた少女殺害事件で、犯人はおろか少女の身元さえわかっていないという。さらに、遺留品として映し出された奇妙な柄のワンピースが京介の心を捉える。10年前とは言え、あまりにデザインが時代遅れ過ぎるのだ。

高円寺南商店街の古民家に住む服飾ブローカーの主人公が、美術解剖学の知識を生かし事件解決に挑むという物語です。
美術解剖学なんて学問があるのか?と疑いたくもなりますが、東京芸術大学をはじめ美術大学で講座があるような、れっきとした学問です。
「法医昆虫学捜査官」にも共通しますが、服飾の知識を用いて独自の着眼点から謎に迫っていく過程が、今までのミステリーにはなく斬新です。
また主人公の桐ヶ谷京介だけでなく、ヴィンテージショップの水森小春や他の登場人物も魅力たっぷり。それぞれが自らの知識、専門性を持ち寄ってさながら一つのチームとして事件解決を目指していきます。
こちらもジャンルのニッチ具合、作品の完成度ともにシリーズ化されてもおかしくないと思っています。続編に期待しましょう。

 

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