真保裕一のおすすめ小説10作品!脚本家と2足のわらじを履く小説家の人気作品を厳選紹介!

この記事では、人気作家真保裕一のおすすめ小説を紹介します。

元アニメーターであり、小説家デビュー後もアニメ作品などの脚本家としても活躍する、マルチな才能を持っている作家です。そんな著者のおすすめ小説を厳選して紹介していきます。

真保裕一のおすすめ小説10選

今回は10作品を紹介していますが、順番についてはあくまでも個人の所感となっておりますので、予めご了承ください。

また一部のシリーズ化している作品についてはシリーズ一覧情報も合わせて記載しておりますので、そちらも参考にお読みいただければと思います。

 

1.『ホワイトアウト』(1995)

日本最大の貯水量を誇るダムが、武装グループに占拠された。職員、ふもとの住民を人質に、要求は50億円。残された時間は24時間!荒れ狂う吹雪をついて、ひとりの男が敢然と立ち上がる。同僚と、かつて自分の過失で亡くした友の婚約者を救うために―。圧倒的な描写力、緊迫感あふれるストーリー展開で話題をさらった、アクション・サスペンスの最高峰。
「BOOK」データベースより引用

吉川英治新人文学賞を受賞し、映画化もされた代表作。ダムを占拠し、そこにいる職員や下流に住む住民を人質として身代金を要求する、少し変わった誘拐サスペンス。
日本最大の貯水量を誇るダムが何故占拠されるに至ったのか、犯人グループが目をつけたポイントも踏まえながら明快に解説しており、物語にすんなり入っていくことが出来る。
本作品の魅力は、アクションとサスペンスの高いレベルでの共存にあると考える。過酷な雪山を舞台にした主人公の奮闘は、まるで著者が実際に体験してきたのではと思わせる程の迫力があり、また終始ハラハラする緊迫の展開に加え、終盤に発動する仕掛けは誘拐ミステリーとしても一級品であると感じさせる。
この作品は主人公の無謀とも思える行動力がベースとなっているが、彼を突き動かす原動力もしっかり語られている点も素晴らしい。山に生きる男の熱意は作品を通してぶれることがない一貫性を保有している。


 

2.『奪取』(1996)

一千二百六十万円。友人の雅人がヤクザの街金にはめられて作った借金を返すため、大胆な偽札造りを二人で実行しようとする道郎・22歳。パソコンや機械に詳しい彼ならではのアイデアで、大金入手まであと一歩と迫ったが…。日本推理作家協会賞と山本周五郎賞をW受賞した、涙と笑いの傑作長編サスペンス。
「BOOK」データベースより引用

山本周五郎賞日本推理作家協会賞をW受賞した代表作。
偽札作りに命をかける若者たちの奮闘を描いたサスペンス。あらすじに「涙と笑いの」とあるようにコミカルな会話シーンも多く、序盤からのテンポの良さが特徴。
中盤以降は製紙印刷技術の説明描写が続き若干中だるみの感はあるが、これらは偽札作りの鍵であるが故の必要なシーン。これらの綿密な設定が真保裕一作品の特長であり、改めて取材力や知識量に感服する。
この中盤があるからこそ、終盤はスピード感と爽快感が感じられる内容となっている。文庫本上下巻で1000ページ近い分量であるが、結果として「長さ」は気にならず読破することが出来るだろう。


 

3.『連鎖』(1991)

チェルノブイリ原発事故による放射能汚染食品がヨーロッパから検査対象外の別の国経由で輸入されていた。厚生省の元食品衛生監視員として、汚染食品の横流しの真相究明に乗りだした羽川にやがて死の脅迫が…。重量感にあふれた、意外性豊かな、第三十七回江戸川乱歩賞受賞のハードボイルド・ミステリー。
「BOOK」データベースより引用

放射能汚染食品を題材にした社会派ミステリー。厚生省の食品検査員である主人公が、親友であるジャーナリストの自殺未遂に隠された真実を暴く。
チェルノブイリ原発事故という当時の一大ニュースをテーマにするアイディアはもちろん素晴らしいが、それを輸出入やジャーナリズムを絡めたサスペンスにしてしまう取材力・文章力の高さが圧巻である。
さらに本作品の特徴はハードボイルド調であるところ。親友の妻と不倫関係にある主人公にとっつきにくさを感じる読者もいるだろうが、バイオレンスとアクションが物語にテンポを生み、どんでん返しを含めた終盤の展開にも効いている。
なお本作品は公務員の活躍を描いた作品であり、『取引』『震源』と合わせて「小役人シリーズ」と呼ばれている。


 

4.『アマルフィ(外交官・黒田康作シリーズ)』(2009)

日伊共同開発事業の調印式でローマ入りする外務大臣を警護せよ。特命を受けた外交官・黒田康作が在イタリア日本大使館に着任早々、大使館に火炎瓶が投げ込まれた。そんな折、母親と観光に訪れた日本人の少女が誘拐され、黒田は母親とともにアマルフィへ向かう。周到に計画を遂行する犯人の真の狙いとは?―。
「BOOK」データベースより引用

外交官・黒田康作シリーズ」の1作品目、織田裕二主演で映画化された人気作であるが、元々はフジテレビ開局50周年記念映画として著者がプロット作りに参加したことから生まれた作品である。
タイトルから分かるようにイタリアを舞台とし、日本人の少女誘拐事件に日本の外交官が立ち向かうというストーリー。
国際情勢を絡めた物語は壮大かつ緻密な構成となっており、映画版を視聴済みだとしても相違点を確認しながら楽しむことが出来る。

「外交官・黒田康作」シリーズ一覧

1.『アマルフィ』(2009)
2.『天使の報酬』(2010)
3.『アンダルシア』(2011)


 

5.『取引』(1992)

公正取引委員会の審査官伊田は汚職の嫌疑をかけられた。何者の策略に嵌り事件に巻き込まれたのだ。ある所からの誘いによって彼はフィリピンへ行くことになる…。ODA(政府開発援助)プロジェクトに関する談合事件をマニラで調査する伊田の身に危険が迫る。期待の乱歩賞作家が放つ長編推理サスペンス。
「BOOK」データベースより引用

公正取引委員会に勤務する主人公が、建設業界に潜む談合カルテルの闇に挑む、前作『連鎖』に続き公務員を主人公とした「小役人シリーズ」の第2作。
主人公が汚職に追い込まれてから復讐を誓いマニラへ飛ぶ序盤の展開は非常にスピーディー。またフィリピンに舞台を移してからの推理やアクションシーンは前作同様ハードボイルド要素満載で迫力十分。
後半は談合の闇を暴くのか、誘拐犯を追いかけるのか、どちらが本筋なのかが見えにくくなっているのが少し残念ではある。一方で主人公が現地で築いた様々な人間関係を友情に昇華させるラストの着地は見事。全体としては重厚な長編サスペンスに仕上がっている。


 

6.『覇王の番人』(2008)

戦乱の世を我が手でしずめてみせる!その決意を胸に秘め、明智光秀は、一人の武将に目をとめる。その男とは―織田信長。やがて光秀は天下統一の夢を信長にたくし、織田軍団の先頭に立って戦いの日々へと突きすすんでいく。歴史に葬られた男・明智光秀の真実を掘り起こし、戦国の定説をくつがえす歴史巨編、堂々登場。
「BOOK」データベースより引用

江戸川乱歩賞受賞作『連鎖』をはじめ、主にミステリーの分野で活躍していた著者による初めての歴史小説は、明智光秀を主人公とした戦国時代の物語。
美濃で斎藤道三に仕えた青年期から、朝倉家を経て信長に仕え、本能寺の変・山崎の戦いと光秀の生涯を追った超大作である。「太閤記」をはじめ勝者によって紡がれる歴史には存在しない光秀像を数多の文献から拾い上げ、一人の人物としてその心理を克明に描写している。
魅力ある武将である光秀とその家臣たちの絆。光秀が忍を束ねる存在であったり、山崎の戦いを生き延びていたりといった創作の要素も含め、物語に没頭していくことを辞められない。


 

7.『ローカル線で行こう!』(2013)

「お金がないなら、知恵を出すのよ!」赤字ローカル線の再生を託されたのは、地元出身の新幹線カリスマ・アテンダント篠宮亜佐美、31歳。沿線住民やファンを巻きこむ企画をくり出し、体あたりで頑張る姿に社内も活気づく。しかし不穏な事件が相次いで亜佐美たちは頭をかかえることに。逆転の手はあるのか?
「BOOK」データベースより引用

『〇〇へ行こう!』というタイトルで統一された「行こう!シリーズ」。舞台は作品ごとに異なれど、働くことの楽しさや人との繋がりに触れたいわゆる”お仕事系“の作品である。
シリーズ2作品目にあたる本作は、宮城県の第三セクター鉄道を題材に、赤字ローカル線と化していた路線の再生に挑む物語。
地方創生をテーマとし、プロジェクトの責任者に地元出身のアラサー女性を就任させるというキャッチーさ、また再建途中に起こる不可解な出来事が、やがて国家ぐるみの利権争いへと拡大していくミステリー要素もあり、作品としてのバランスの良さを感じさせる。
シリーズを通しての仕事の大切さ、ハートフルな展開にも触れており、完成度の高い作品となっている。

「行こう!」シリーズ一覧

1.『デパートへ行こう!』(2009)
2.『ローカル線で行こう!』(2013)
3.『遊園地に行こう!』(2016)
4.『オリンピックへ行こう!』(2018)


 

8.『ボーダーライン』(1999)

ロサンゼルスの日系企業で働く探偵のサム永岡は、一人の若者を探すように命じられた。国境に近い町で見つけた彼は、天使のような笑顔を見せながらいきなり発砲してきた―。人としての境界を越えた者と、そんな息子の罪を贖おうとする父親。ふたりにかかわった永岡もまた、内なるボーダーラインを見つめる…。重層的なテーマが響く傑作長篇。
「BOOK」データベースより引用

ロサンゼルスで探偵として働く日本人の奮闘を描いたハードボイルド小説
ある写真に写った日本人を探すという何でもない依頼が、やがて壮絶な展開を生むことになる。
前半は、現在と主人公が探偵になる前後の過去エピソードが断片的に挟まるため、話が脱線して多少読みづらい。ここが少し冗長に感じられる部分でもあるのだが、後半への伏線になっているため我慢して読みたいところ。
人種や差別の問題にも直面しながらの異常犯罪者との壮絶な戦いと、救いようのない展開ながらも爽快感すら覚えるラストに繋がる。真保作品らしい重厚な作品である。


 

9.『ストロボ』(2000)

カメラマンの喜多川はある日、若い女性から余命短い母親の遺影用の写真を撮ってほしいと依頼される。母親はかつて喜多川に撮影されたことがあるというが、全く記憶にない。一体どんな因縁があったのか―(「遺影」)。50歳から22歳まで、フィルムを巻き戻すようにさかのぼって人生の哀歓を描き出す傑作。
「BOOK」データベースより引用

あるカメラマンの人生を、学生時代のアルバイト生活や躍進のきっかけとなった作品の背景など、全5編の短編で描いた連作短編集。
5編の時代設定は主人公が20代から50代と多岐に渡るが、何と言ってもこの作品の特徴は50代から徐々に時間軸とは逆行して描かれている点。
あとがきで著者が「主人公が自分の撮してきた写真を振り返って今を確認している」と評しているように、それぞれが現在視点で語られているため、未来を見てきた読者が今における伏線回収をすることができる。ラストを読み終わってもう一度第1章に立ち返ると、独特のエモさを感じることが出来る、珍しい作品である。


 

10.『奇跡の人』(1997)

31歳の相馬克己は、交通事故で一度は脳死判定をされかかりながら命をとりとめ、他の入院患者から「奇跡の人」と呼ばれている。しかし彼は事故以前の記憶を全く失っていた。8年間のリハビリ生活を終えて退院し、亡き母の残した家にひとり帰った克己は、消えた過去を探す旅へと出る。そこで待ち受けていたのは残酷な事実だったのだが…。静かな感動を生む「自分探し」ミステリー。
「BOOK」データベースより引用

交通事故から奇跡の生還を果たした男性が、失った事故以前の記憶を取り戻そうとする物語。
母との絆が感じられる序盤から徐々に違和感が形を成してくるサスペンス展開は見事。
一方で後半の展開は、主人公の歪んだ感情に振り回されることになる。この手の内容は主人公の心情への共感性が得られないと評価としては厳しいものになってしまう。ラストも設定を生かして上手くまとめているが、取ってつけた内容に見えてしまう。


 

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