爽やかな読後感!森絵都のおすすめ小説10作品を厳選紹介!

青春小説や児童分学で地位を確立している作家森絵都氏。直木賞をはじめ数々の文学賞を受賞している、日本を代表する作家の1人です。

この記事では、そんな森絵都氏のおすすめ小説を紹介していきます。

森絵都のおすすめ小説10作品を紹介する

私が読んだ中でも特に面白い小説を、おすすめ順に紹介していきます。

1.『みかづき』

昭和36年。放課後の用務員室で子供たちに勉強を教えていた大島吾郎は、ある少女の母・千明に見込まれ、学習塾を開くことに。この決断が、何代にもわたる大島家の波瀾万丈の人生の幕開けとなる。二人は結婚し、娘も誕生。戦後のベビーブームや高度経済成長の時流に乗り、急速に塾は成長していくが…。第14回本屋大賞で2位となり、中央公論文芸賞を受賞した心揺さぶる大河小説、ついに文庫化。
「BOOK」データベースより引用

昭和から平成まで、高度経済成長期を経て少子化問題に直面する激動の日本において、学習塾を立ち上げた夫婦の物語です。満ち足りる事のない教育への情熱を一心に子供たちに注ぎ込み昭和の世を駆け抜けた夫妻の生き様には胸を打たれます。

またこの物語はそれだけでなく、彼らから子、そして孫世代まで親子3代に渡って脈々と受け継がれる教育者の血筋を描いた家族の物語でもあります。想いは違えど互いを尊重し、各々の視点で教育と向き合う大島家の人々は、まるで良質の大河ドラマを見ているかのような錯覚を覚えます。

2017年本屋大賞2位、2016年ブランチBOOK大賞にも選ばれた作品。老若男女幅広い世代におすすめできる小説です。

 

2.『DIVE!!』

高さ10メートルの飛込み台から時速60キロでダイブして、わずか1.4秒の空中演技の正確さと美しさを競う飛込み競技。その一瞬に魅了された少年たちの通う弱小ダイビングクラブ存続の条件は、なんとオリンピック出場だった!女コーチのやり方に戸惑い反発しながらも、今、平凡な少年のすべてをかけた、青春の熱い戦いが始まる―。大人たちのおしつけを越えて、自分らしくあるために、飛べ。
「BOOK」データベースより引用

東京のダイビングクラブに通う少年たちが、飛込競技でオリンピックを目指すというスポーツ小説。このジャンル小説はそもそも数が少ないし、飛込競技というマイナー競技中を描くのは難しいのではと思いますが、そんな心配は無用です。ダイビングというスポーツの魅力や現状をしっかり取材したのだなと思える丁寧な描写、圧巻です。

また性格や飛び方が違う3人の主要人物を見事に描き分けていて、それがこの作品の魅力につながっていると思います。中学生と高校生、多感な時期の少年たちがちょっとしたことに動揺し、感情を動かしてしまう。そんな微妙な心情をとても上手く表現しています。文庫版は上下2冊ですが、それぞれの解説が『バッテリー』の作者あさのあつこさん、『』一瞬の風になれ』の作者佐藤多佳子さんであることもとても良いです。名作と呼ばれるスポーツ小説を書いた作家ならではの着眼点が分かるので、文庫版の場合は是非解説までご覧ください。

 

3.『カラフル』

生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになるのだが…。不朽
「BOOK」データベースより引用

ある罪を犯した男が、死後の世界で再挑戦のチャンスを得るというファンタジーのような設定ですが、実は中身は思春期の中学生を描いた爽やかな青春小説で、物語が進むにつれ、次第に予想外の展開へと発展していきます。

勘の良い読者は序盤〜中盤で物語の結末を予想できるかもしれません。それでもこの作品は最後まで読む価値に溢れています。ともすれば1時間程度で読み切れてしまうくらいの小説の中に、思春期の悩みや葛藤、ティーンエイジャーが共感出来る感情が詰まっています。高校生が選んだ読みたい文庫No.1は伊達ではないなと感じます。巻末を彩る阿川佐和子さんの解説(文庫版)も素敵です。サクッと読める分量なので是非手に取ってみてください。

 

4.『クラスメイツ』

中学校にはいろいろな生徒がいる。自分を変えられるような部活を探す千鶴、人気者になりたいのにキツいツッコミで女子を敵に回してしまう蒼太、初めてできた親友と恋敵になるかもしれないと焦る里緒…。小さなことで悩んだり、なんでもないことが笑ったりした、かけがえのない一瞬のまぶしさがよみがえる。北見第二中学校1年A組の1年間をクラスメイツ24人の視点でリレーのようにつなぐ、青春連作短編集。
「BOOK」データベースより引用

とある中学校の1年A組の1年間を、24人それぞれの視点から描いた物語。連作短編集とありますが、作中では章ごとに主人公が変わりながらも4月から3月まで緩やかに歳月が流れています。

24人もの中学生を、クラスの中心にいるような明るい子から、地味で目立たず名前を覚えてもらえないような子、自分に自信が持てず不登校になってしまう子までしっかりとキャラを立たせて描き分けるだけでも凄いことだと思います。
1人あたりの分量(各章)は文庫本にしておよそ20ページと短いけれど、その1つ1つに、24通りの自我・個性がちゃんと表現されています。加えて笑いあり涙ありのエピソードと最高級の仕上がりになっています。

 

5.『風に舞い上がるビニールシート』

才能豊かなパティシエの気まぐれに奔走させられたり、犬のボランティアのために水商売のバイトをしたり、難民を保護し支援する国連機関で夫婦の愛のあり方に苦しんだり…。自分だけの価値観を守り、お金よりも大切な何かのために懸命に生きる人々を描いた6編。あたたかくて力強い、第135回直木賞受賞作。
「BOOK」データベースより引用

人生で大切だと感じるもの」をテーマに、お金でない大事な何かのために奮闘する人々の姿を描いた短編集です。しっかりと人物設定が掘り下げられているし、心理描写も短編らしく過不足が無い分量。それでいて作品のテーマは一貫していてブレることもなく、さすが直木賞受賞作品なだけあって、6編それぞれが短編とは思えないくらいのクオリティです。

また古典文学や難民問題、仏像修復など特殊な職業・題材を扱っているのもポイントです。ニッチな領域でもしっかりと下調べが出来ており、作者の力量が伺える作品です。

 

6.『永遠の出口』

「私は、“永遠”という響きにめっぽう弱い子供だった。」誕生日会をめぐる小さな事件。黒魔女のように恐ろしい担任との闘い。ぐれかかった中学時代。バイト料で買った苺のケーキ。こてんぱんにくだけちった高校での初恋…。どこにでもいる普通の少女、紀子。小学三年から高校三年までの九年間を、七十年代、八十年代のエッセンスをちりばめて描いたベストセラー。第一回本屋大賞第四位作品。
「BOOK」データベースより引用

まるでエッセイのように、章ごとに少しずつ時を進めながら、ある少女の小学校から高校までの学生生活を描いた物語です。
ある時は友人との確執、ある時は親との衝突、ある時は恋人との破局と、大人になってから思い返せば些細な出来事だけれども、当時は重大事件だったような出来事は誰にでもあるでしょう。それを小学生、中学生、高校生とそれぞれ微妙に異なる精神年齢を意識し、絶妙な心理描写で表現しています。
昔を思い出したり共感したりといった口コミが多いのはそのためでしょう(中学1年生から酒を飲む人はあまりいないかもしれませんが)。

 

7,8.『リズム、ゴールドフィッシュ』

ロック青年のいとこの真ちゃんを慕う少女さゆきが自分らしさを探し始める中学3年間の物語。大人になると忘れてしまう中学時代の気持ちや、宝物のように大切な一瞬を丁寧にすくいあげ、「私たちの気持ちを言葉に表現してくれた」と中高生の絶大な支持を得ている森絵都のデビュー作『リズム』と続編『ゴールド・フィッシュ』の2作品を1冊に収録!小学上級から。
「BOOK」データベースより引用

若干23歳にして第31回講談社児童文学新人賞を受賞した、著者のデビュー作です。年上のいとこに恋をする中学1年生の女の子さゆきが、少しずつ変化する日常を描いた青春小説です。うまくいかないことや悲しいことがあっても悲観することなく、前向きな気持ちにさせてくれます。

分量はそれほど多くないので、物語の2年後を描いた『ゴールドフィッシュ』と合わせて是非読んでほしいです。上で紹介している新書版は2冊同時収録となっていますが、文庫版ですと別冊になっているので注意が必要です。

 

9.『つきのふね』

あの日、あんなことをしなければ…。心ならずも親友を裏切ってしまった中学生さくら。進路や万引きグループとの確執に悩む孤独な日々で、唯一の心の拠り所だった智さんも、静かに精神を病んでいき―。近所を騒がせる放火事件と級友の売春疑惑。先の見えない青春の闇の中を、一筋の光を求めて疾走する少女を描く、奇跡のような傑作長編。
「BOOK」データベースより引用

中学生のさくらと、親友の梨利、同級生の勝田くん、そしてスーパーで働く24歳の青年智さん。4人の登場人物が織りなす友情の物語。万引きや心の病など重苦しいテーマを取り入れながらも、悲壮感を感じさせずに、友情をメインテーマに据えているところをぶれさせない描き方が素晴らしいと思います。
終盤に訪れる怒涛の展開は迫力もあるし、伏線を全て回収し切ったとは言えないまでも爽やかなラストに仕上げています。

 

10.『いつかパラソルの下で』

病的なまでに潔癖で、傍迷惑なほど厳格だった父。四十九日の法要が近づいたこ、私は父の生前の秘密を知ってしまう。大人たちの世界を瑞々しい筆致で綴ったハートウォーミング・ストーリー。
「BOOK」データベースより引用

事故で亡くなった父が生前に残した秘密をとあるきっかけで知った3人の子供たちが、その真相を解き明かそうとする。ティーンエイジャーの心情を書き綴った爽やかな作品が多い著者にあって、ストーリーも登場人物も一風変わった物語となっています。

とはいえミステリーっぽい導入ながらもそうはならず、あくまで父の秘密を通して兄弟、残された家族が自分たちの人生や生き方を見つめ直していくことに主題が置かれています。さっぱりとした読後感はさすがの一言ですし、タイトルに込められた主人公の想いも素敵です。

 

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