綾辻行人の大人気ミステリー「館シリーズ」を読む順番とあらすじをまとめてみました

 

綾辻行人の「館シリーズ」といえばミステリーファンで知らない人のいない超人気シリーズです。特に一作目の『十角館の殺人』は新本格ミステリのムーブメントを起こした先駆け的な作品と言われており、傑作との呼び声も高いです。

本シリーズは一話完結型ではありつつも、このシリーズは順番通りに読むことを強くおすすめします。理由は後ほど。

今回はシリーズの特徴や読むべき順番など、まとめて紹介していきます。これからシリーズを読み始める方にも、再読しようと考えている方にもおすすめです。

 

綾辻行人の「館シリーズ」とは

館シリーズ(やかたシリーズ)は、綾辻行人による長編推理小説のシリーズ。寺の三男坊(後に推理作家)の素人探偵・島田潔が、今は亡き建築家・中村青司が建築に関わった奇怪な建物に魅せられ、訪ねていく。すると、そこでは決まって凄惨な殺人事件が起こる。
wikipediaより引用

 

「館シリーズ」の特徴は

本シリーズは①トリックと謎解きに重点を置いている②名探偵が活躍するという2つの特徴があり、それらから本格ミステリという位置付けであると言われています。

ですがそれだけではありません。「秘密の抜け道」や「隠し部屋」といったいわゆる本格ミステリの禁じ手をあえて使用しているという点も特徴として挙げられると思いますし、叙述トリックや作品全体に跨る仕掛けによる、終盤のどんでん返しも特徴と言えます。

長々と語りましたが、つまりは超絶面白いということですね。では1作ずつ紹介していきます。

 

「館シリーズ」全9作品を順番に紹介する

1.『十角館の殺人』

十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の七人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける!
「BOOK」データベースより引用

冒頭でも軽く紹介しましたが、シリーズ1作目にして最高傑作。この作品に関しては逆に多くを語らない方がいいと思います。最後の一行を読んだ時の衝撃は忘れられません。このどんでん返しは必ずくせになるはずです。


 

2.『水車館の殺人』

仮面の当主と孤独な美少女が住まう異形の館、水車館。一年前の嵐の夜を悪夢に変えた不可解な惨劇が、今年も繰り返されるのか?密室から消失した男の謎、そして幻想画家・藤沼一成の遺作「幻影群像」を巡る恐るべき秘密とは…!?
「BOOK」データベースより引用

1作目の『十角館』とは違い、ところどころ推理可能な手がかりが文中に残されているので、読んでいて犯人が分かった!という読者もいるかもしれません。その分『十角館』よりインパクトにはやや欠ける部分もあるかなというのが感想です。3作目の『迷路館』への、繋ぎの2番的位置付けかなと個人的には思います。


 

3.『迷路館の殺人』

奇妙奇天烈な地下の館、迷路館。招かれた四人の作家たちは莫大な“賞金”をかけて、この館を舞台にした推理小説の競作を始めるが、それは恐るべき連続殺人劇の開幕でもあった。
「BOOK」データベースより引用

『迷路館』というクローズドサークル、そしてそこで起こる見立て殺人と、ミステリーファンが大好物な舞台が整っています。そして本自体に仕掛けられたトリックは衝撃の一言です。人によってはフェアではないと思うのかな、、個人的には叙述トリックもそうですけど、インパクトでかいほど面白く感じるみたいなところあるので、名作揃いの館シリーズの中でもトップ3に入るお気に入りです。

なお、本作『迷路館の殺人』は、1作目『十角館の殺人』、2作目『水車館の殺人』の後に読むことを強くおすすめします。というより3作目より先に4作目以降(特に5作目!)を読んでしまうと、面白さが半減してしまいます。ご注意を。


 

4.『人形館の殺人』

父が飛龍想一に遺した京都の屋敷―顔のないマネキン人形が邸内各所に佇む「人形館」。街では残忍な通り魔殺人が続発し、想一自身にも姿なき脅迫者の影が迫る。彼は旧友・島田潔に助けを求めるが、破局への秒読みはすでに始まっていた!?シリーズ中、ひときわ異彩を放つ第四の「館」
「BOOK」データベースより引用

あらすじにもあるように、シリーズの中でも異作として扱われています。『人形館』という言葉からイメージできるかもしれませんが、作品全体に不気味さが漂い、若干ホラー小説的な要素も孕んでいます。夜に読むと、もしかしたら眠れなくなってしまうかもしれません。


 

5.『時計館の殺人』

鎌倉の外れに建つ謎の館、時計館。角島・十角館の惨劇を知る江南孝明は、オカルト雑誌の“取材班”の一員としてこの館を訪れる。館に棲むという少女の亡霊と接触した交霊会の夜、忽然と姿を消す美貌の霊能者。閉ざされた館内ではそして、恐るべき殺人劇の幕が上がる!
「BOOK」データベースより引用

衝撃は『十角館』には劣るものの、ミステリーの質としてはシリーズの中でも最上級な『時計館』。上・下2冊で計600ページの大作ですが最後まで飽きさせず(最初の殺人が起こるまでが若干長いかな)、トリックも『時計館』の特徴をうまく捉えており、文句無しです。

日本推理作家協会賞も受賞しており、『十角館』、『迷路館』と並んで館シリーズのBIG3と言える本作品。おそらく大半の読者は異論無いはずです。


 

6.『黒猫館の殺人』

大いなる謎を秘めた館、黒猫館。火災で重傷を負い、記憶を失った老人・鮎田冬馬の奇妙な依頼を受け、推理作家・鹿谷門実と江南孝明は、東京から札幌、そして阿寒へと向かう。深い森の中に建つその館で待ち受ける、“世界”が揺らぐような真実とは!?シリーズ屈指の大仕掛けを、読者は見破ることができるか?
「BOOK」データベースより引用

いわゆる本格ミステリに分類される館シリーズですが、『黒猫館』は本格ミステリなのか?と首を傾げたくなる作品です。但し面白くないというわけではないので誤解なさらぬよう。館そのものの存在がふわっとしているので掴みどころのないファンタジーの世界にいるような感覚を覚えます。読み物としてはとても面白いです。


 

7.『暗黒館の殺人』

蒼白い霧に峠を越えると、湖上の小島に建つ漆黒の館に辿り着く。忌まわしき影に包まれた浦登家の人々が住まう「暗黒館」。当主の息子・玄児に招かれた大学生・中也は、数々の謎めいた出来事に遭遇する。十角塔からの墜落者、座敷牢、美しい異形の双子、そして奇怪な宴…。著者畢生の巨編、ここに開幕。
「BOOK」データベースより引用

シリーズ7作目の特徴はとにかく長いということ。講談社文庫で『暗黒館の殺人(一)』から『暗黒館の殺人(四)』まで計4冊、2000ページを超す大長編です。

ぶっちゃけ私はここで一回館シリーズを挫折しました。4冊2000ページというパワーワードに読む前から心折れてしまったんですね。でも読み終わった今なら言える。読まないともったいないです。コツは一気読みをしようとしないことですかね。


 

8.『びっくり館の殺人』

あやしい噂が囁かれるお屋敷町の洋館、その名もびっくり館。館に住む少年と友だちになった三知也たちは、少年の祖父が演じる異様な腹話術劇におののくが…クリスマスの夜、ついに勃発する密室の惨劇!悪夢の果てに待ち受ける戦慄の真相とは!?
「BOOK」データベースより引用

児童書なのか?と思われる本作は、子供が主人公であり内容も子供向けを想定されているような感じ(ただしホラー寄りですが)読みやすい短編小説のような印象を受けます。

島田潔ら主要人物も本作では重要な役割を担っているわけではなく、スピンオフ作品として読むのがいいのかもしれないな、と思います。


 

9.『奇面館の殺人』

奇面館主人・影山逸史が主催する奇妙な集い。招待された客人たちは全員、館に伝わる“鍵の掛かる仮面”で顔を隠さねばならないのだ。季節外れの大雪で館が孤立する中、“奇面の間”で勃発する血みどろの惨劇。発見された死体からは何故か、頭部と両手の指が消えていた!
「BOOK」データベースより引用

5作目の『時計館』に続き上・下2冊となっています。表紙とタイトルでお分かりのように、館は雪の中、登場人物は仮面を付けるという、心踊る設定です。それにしても文庫版の表紙は毎回かっこいいですよね。

最近のトレンドなのか、前作に引き続き読みやすいです。特に今作は上下巻あるんですが、すらすら読めます。(その分地味だとか言われてるみたいですけどね、、確かにシリーズ初期のインパクトは無いですが、良作ではあると思います)


 

終わりに

上述しましたが、館シリーズは基本的には1話完結作品です。ですが主要人物や設定はシリーズ共通となり、シリーズとしてのネタバレ的なものがあります。

最後にもう一度、順番通りに読むことをおすすめします。

シリーズを読み進めていけば、必ずこの言葉の意味が分かるはずです。

 

さて、今回は綾辻行人の人気シリーズを紹介しましたが、私が綾辻行人と同じくらい好きな推理作家有栖川有栖島田荘司の人気シリーズについてもまとめています。以下からどうぞ。

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