他ジャンルとの見事な融合!米澤穂信のおすすめミステリー小説10作品を紹介!

 

今回はミステリー作家「米澤穂信」のおすすめ作品をまとめてみます。

アニメ化もされた大ヒット『氷菓』シリーズや、2022年に直木賞を受賞した『国牢城』などが有名ですが、この2作品に代表されるように、①日常の謎②他ジャンルを組み合わせたミステリー、の2つが著者の大きな魅力ではないかと思います。

もちろんこれが全てではありませんが、上記の2つを軸に10作品を紹介していきます。

 

米澤穂信のおすすめ作品ランキング

今回紹介する作品の大部分は電子書籍で読むことが可能です。もちろん紙には紙の良さがありますが、安く買えたり場所を取らなかったりと電子書籍のメリットもあります。是非平行してご利用ください。

1.『折れた竜骨』

ロンドンから出帆し、北海を三日も進んだあたりに浮かぶソロン諸島。その領主を父に持つアミーナは、放浪の旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラに出会う。ファルクはアミーナの父に、御身は恐るべき魔術の使い手である暗殺騎士に命を狙われている、と告げた…。いま最も注目を集める俊英が渾身の力で放ち絶賛を浴びた、魔術と剣と謎解きの巨編!第64回日本推理作家協会賞受賞作。
「BOOK」データベースより引用

推理小説と相性最悪だと思われがちな魔法ありのファンタジーというジャンルに、うまくミステリーを融合させている稀有な作品です。
中世ヨーロッパを舞台にヴァイキングリチャード王の十字軍など史実を絡めた世界設定の緻密さと、論理と非論理のバランス。
これ以上でもこれ以下でも、ミステリー×ファンタジーとして破綻してしまうような、絶妙な塩梅となっています。
日本推理作家協会賞を受賞した作品だけあり、あっという間に読めてしまいます。現代設定だけでなく、たまには一風変わった本格推理者を読みたいなんて方にはとてもおすすめです。


 

2.『王とサーカス』

海外旅行特集の仕事を受け、太刀洗万智はネパールに向かった。現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を過ごそうとしていた矢先、王宮で国王殺害事件が勃発する。太刀洗は早速取材を開始したが、そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女の前にはひとつの死体が転がり…2001年に実際に起きた王宮事件を取り込んで描いた壮大なフィクション、米澤ミステリの記念碑的傑作。
「BOOK」データベースより引用

実際に起きた事件を題材にしているということで、サスペンス色が強い作品。とはいえ張り巡らされた伏線を回収していく様は見事だし、切れ味鋭い描写も健在。何より主人公である太刀洗のファンにとってはたまらない。
太刀洗万智を主人公としたベルーフシリーズは続編の『真実の10メートル手前』もとても面白いです。


 

3.『氷菓』

いつのまにか密室になった教室。毎週必ず借り出される本。あるはずの文集をないと言い張る少年。そして『氷菓』という題名の文集に秘められた三十三年前の真実―。何事にも積極的には関わろうとしない“省エネ”少年・折木奉太郎は、なりゆきで入部した古典部の仲間に依頼され、日常に潜む不思議な謎を次々と解き明かしていくことに。さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリ登場!第五回角川学園小説大賞奨励賞受賞。
「BOOK」データベースより引用

著者のデビュー作であり、また『古典部シリーズ』として京都アニメーションよりアニメ化もされた人気シリーズの第1作でもあります。
省エネを信条とする主人公折木奉太郎が、日常生活における些細な謎を状況分析により解き明かしていくというものです。
殺人や強盗などの重犯罪が起こらない、いわば誰も傷つけないミステリーとして幅広い世代から人気を集めており、シリーズ全体として着眼点が素晴らしいです。


 

4.『黒牢城』

本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の智将・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。デビュー20周年の集大成。
「BOOK」データベースより引用

第166回の直木賞受賞作品は、戦国時代を舞台に、謀反を起こした織田信長の家臣荒木村重による有岡城の戦いの1年余りを描いています。
村重を説得しに有岡城へ訪れる黒田官兵衛を幽閉するというところまでは史実でありながら、城で起こる奇怪な出来事を官兵衛が探偵役となり解決していくという、歴史小説×ミステリーの見事な融合を果たした作品と言えるでしょう。
各章で起こる事件は一旦の解決を見せながら最終章で意外な真犯人が判明するという構成力に加え、官兵衛と村重の議論の応酬は読み応え抜群です。


 

5.『満願』

「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが…。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、全六篇を収録。史上初めての三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔。山本周五郎賞受賞。
「BOOK」データベースより引用

とにかく短編集とは思えない重厚さとクオリティの高さ。普段短編ってあまり読まないんですけど、なぜかってキャラの掘り下げとかストーリー展開、描写とかが長編に比べて浅く感じてしまうからなんです。ところが満願にはそれが無い。短い中に伏線有り、人物描写も的確で、満足度が長編のそれに限りなく近いです。
そしてそれが一つだけでなく、全6編全てが同等のクオリティであることも驚きです。ミステリー三冠も納得の傑作です。


 

6.『本と鍵の季節』

堀川次郎は高校二年の図書委員。利用者のほとんどいない放課後の図書室で、同じく図書委員の松倉詩門と当番を務めている。背が高く顔もいい松倉は目立つ存在で、快活でよく笑う一方、ほどよく皮肉屋ないいやつだ。そんなある日、図書委員を引退した先輩女子が訪ねてきた。亡くなった祖父が遺した開かずの金庫、その鍵の番号を探り当ててほしいというのだが…。図書室に持ち込まれる謎に、男子高校生ふたりが挑む全六編。
「BOOK」データベースより引用

高校2年生の主人公堀川と、同級生の松倉。ひょんなことから図書委員の2人に持ち込まれる謎を解いていく青春ミステリーです。
タイトルの通り「本」と「鍵」が物語のキーワードとなっています。連作短編集の形式で、一つ一つの短編(章)は長くも短くもなく、会話のテンポの良さも相まって非常に読みやすいです。
特徴としては”日常の謎”に分類されるミステリーですが、陰と陽(光と影、性善と性悪と言い換えても良いです)のバランスが素晴らしく、特に物語後半に差し掛かると訪れる不気味さや人の悪意に惑わされます。
刊行されるやいなや注目を集め、続編の『栞と嘘の季節』とともに”図書委員シリーズ“として人気を博しています。


 

7.『儚い羊たちの祝宴』

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。
「BOOK」データベースより引用

良いとこのお嬢様たちが集う「バベルの会」、その会員たちに絡んだ5つの事件を短編で描いています。個々の事件は独立したものですが、最終編で「バベルの会」そのものに纏わる話が描かれます。
語り手は必ずしも「バベルの会」の会員ではない点、また終盤に襲いかかる衝撃が特徴です。短編集という扱いなのかもしれませんが、5つの短編を1つの長編として読んだ感じがします。


 

8.『さよなら妖精』

雨宿りをする彼女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。忘れ難い余韻をもたらす、出会いと祈りの物語。初期の大きな、そして力強い一歩となった、鮮やかなボーイ・ミーツ・ガール・ミステリをふたたび。
「BOOK」データベースより引用

1990年代初頭、ユーゴスラビアから来た一人の少女と高校生たちの2ヶ月の交流を描いた青春小説。最初は日常に潜んだ小さな謎を解いていく『氷菓』的な物語かな?と思いますが、後半怒涛の展開を見せます。史実や実際の出来事を小説の中に取り入れるのがとてもうまいですね。
主人公の友達としてですが、『王とサーカス』などの太刀洗万智シリーズの主人公、太刀洗万智が登場します。当時は10年前ということで高校生です。


 

9.『追想五断章』

大学を休学し、伯父の古書店に居候する菅生芳光は、ある女性から、死んだ父親が書いた五つの「結末のない物語」を探して欲しい、という依頼を受ける。調査を進めるうちに、故人が20年以上前の未解決事件「アントワープの銃声」の容疑者だったことがわかり―。五つの物語に秘められた真実とは?青春去りし後の人間の光と陰を描き出す、米澤穂信の新境地。
「BOOK」データベースより引用

リドル・ストーリーという、作中の謎に答えを示さないまま終わる形式の物語がテーマとなっています。5つの断章はメリハリが効いていて、リドル・ストーリーながらも読み進めるごとに謎が解けていく感覚を味わうことができます。
また作中に出てくる「アントワープの銃声」は実際の事件(「ロス疑惑』?)を元に描かれており、臨場感たっぷりです。


 

10.『ボトルネック』

亡くなった恋人を追悼するため東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した…はずだった。ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅へ戻ったぼくを迎えたのは、見知らぬ「姉」。もしやここでは、ぼくは「生まれなかった」人間なのか。世界のすべてと折り合えず、自分に対して臆病。そんな「若さ」の影を描き切る、青春ミステリの金字塔。
「BOOK」データベースより引用

自殺の名所東尋坊や金沢の街を舞台にした青春小説。青春小説と言っても作品全体を通して明るい雰囲気ではなく、ラストも救われない感じがするので暗い印象を受けます。
パラレルワールドものが好きならはまるでしょうが、好き嫌い別れる作品かな、とも思います。


 

11.『インシテミル』

「ある人文科学的実験の被験者」になるだけで時給十一万二千円がもらえるという破格の仕事に応募した十二人の男女。とある施設に閉じ込められた彼らは、実験の内容を知り驚愕する。それはより多くの報酬を巡って参加者同士が殺し合う犯人当てゲームだった―。いま注目の俊英が放つ新感覚ミステリー登場。
「BOOK」データベースより引用

青春要素が多い米沢作品には珍しいデスゲーム系ミステリー。ロジカルに組み立てられており、誰が犯人か最後まで分からない点も面白さを引き立てます。
映画版ははっきり言って見なくていいでしょう。というかなぜこの作品が映画化されたのかが分からないですね。もっと良い作品がいっぱいあるのに・・。


 

12.『春期限定いちごタルト事件』

小鳩君と小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに、二人の前には頻繁に謎が現れる。名探偵面などして目立ちたくないのに、なぜか謎を解く必要に迫られてしまう小鳩君は、果たしてあの小市民の星を掴み取ることができるのか?
「BOOK」データベースより引用

『氷菓』シリーズと同じく、高校生たちの日常の謎を題材にしたミステリー。何と言っても気楽に読めるのが良いです。小鳩くんと小山内さんという二人の主要人物は、あまり目立たずに日々を過ごしたいという想いが強いようですが、その裏にはあまり触れられたくない過去があるようです。
なお本作品は『小市民シリーズ』の第1弾という位置付けになっており、小鳩くんと小山内さんの活躍は他作品でも楽しむことができます。シリーズ一覧は以下の通りとなっています。

・第1弾:『春期限定いちごタルト事件』
・第2弾:『夏期限定トロピカルパフェ事件』
・第3弾:『秋期限定栗きんとん事件(上・下)』
・第4弾:『巴里マカロンの謎』


 

終わりに

米澤穂信作品ランキング、いかがでしたでしょうか。シリーズ作品も、ノンシリーズ作品も粒ぞろい。今後も新刊の情報から目が離せません。

 

最後に、ミステリー系の記事を以下で紹介します。

 

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