小学館が発行するビッグコミックスレーベルの週刊誌「ビッグコミックスピリッツ」。
『ビッグコミック』、『ビッグコミック オリジナル』、『ビッグコミック スペリオール』とともに4大ビッグコミックと呼ばれており、週刊誌であるためこの中でもっとも発行頻度が多いです。
必然的に面白い漫画も多いので、『スピリッツ』連載作品の中からおすすめ作品を紹介していきます。現在連載中の作品も多いので、是非購読の参考にしてみてください。
「週刊スピリッツ」連載中のおすすめ作品を紹介する
まずは連載中の作品から、10作品を紹介していきます。
1.『君は放課後インソムニア』
不眠で悩む男子高校生・ガンタは同じ悩みを抱えるイサキと出合い、放課後に学校の今は物置になっている天文台で、つかのまの眠りと、秘密を共有するという不思議な関係が始まる……
インソムニア(不眠症)に悩まされる高校生の男女が、校内での居場所を求めて出会う学園青春漫画。
不眠症がつなぐ2人の恋愛模様は甘酸っぱくて、さらに2人を介して広がる天文部の活動や、協力してくれる友達のコミュニケーションも青春要素が満載。
この作者は色々な形のボーイミーツガールを描くが、それぞれが独特のシチュエーションで良い。『猫のお寺の知恩さん』など別作品もおすすめ。
2.『ひらやすみ』
生田ヒロト、29歳、フリーター。定職なし、恋人なし、普通ならあるはずの?将来の不安も一切ない、お気楽な自由人です。そんな彼は、人柄のよさだけで、仲良くなった近所のおばあちゃん・和田はなえさんから、タダで一戸建ての平屋を譲り受けることに。そして、山形から上京してきた18歳の従姉妹・なつみちゃんと2人暮らしを始めました。しかし、彼の周りには生きづらい“悩み”を抱えた人々が集まってきて…
元俳優の卵、現フリーターのヒロトの日常を描いた作品。
主人公と彼のいとこである美大生なつみを中心に展開されるモラトリアム、ゆるい日常の中にも登場人物それぞれが抱える悩みや葛藤が描かれている。
悩み続ける人もいれば、前に進むことを決める人もいる。当たり前なはずの日常も1日として同じ日は無いのだという不可逆性がテーマの一つなのだろう。
日常系という括りにはなるが、ユルさとエモさが同居した稀有な漫画である。
3.『アオアシ』
愛媛に暮らす中学三年生・青井葦人(あおいアシト)。粗削りながら、強烈なサッカーの才能を秘めているアシトだったが、まっすぐすぎる性格が災いして、大きな挫折を経験することに―――
そんなアシトの前に、東京にある強豪Jクラブ「東京シティ・エスペリオン」のユースチーム監督・福田達也(ふくだたつや)が現れる。
田舎のサッカー部にいた主人公が、偶然の出会いから才能を見出され、東京の強豪ユースチームに引き抜かれるというストーリー。
中高の部活でなく、クラブのユースチームが舞台となる珍しいサッカー漫画。
トップ(プロ)に上がれるかどうかの内部競争、Jリーグの下部組織における日本サッカーの育成方針なども垣間見え、これまでのサッカー漫画とは一線を画していることは間違いない。
4.『二月の勝者-絶対合格の教室-』
2020年の大学受験改革を目前に、激変する中学受験界に現れたのは生徒を第一志望校に絶対合格させる最強最悪の塾講師・黒木蔵人!受験の神様か、拝金の悪魔か? 早期受験が一般化する昨今、もっとも熱い中学受験の隠された裏側、合格への戦略を圧倒的なリアリティーでえぐりだす衝撃の問題作!
世にも珍しい「中学受験」を題材にした漫画。主人公は塾講師ではあるが、塾講師・親・そして子供と様々な視点から中学受験を斬っていく。
高校受験・大学受験と違って、中学受験は親の意向が色濃く反映される。金銭面ももちろんだが夫婦それぞれの教育観、そして精神面と様々な要素が子供の中学受験、ひいては未来に関わっているのだと知る。
中学受験を経験した身としては刺さりまくる漫画であるが、そうでなくともこれから子を持つ世代の方々は必読の作品。
5.『あさドラ!』
物語は、1959年の名古屋を舞台に始まる。ヒロインの名前は“浅田アサ”。いつも走っていて、いつも名前を間違えられてばかりいる、まだ12歳の少女。
“この物語は、戦後から現代にかけて可憐にたくましく生きた、ある名もなき女性の一代記である――”
『20世紀少年』以来11年ぶりとなる新連載。東京オリンピック前の名古屋を舞台に、一人の少女”浅田アサ”の幼少期を追うところから物語が始まる。
『YAWARA』や『Happy!』など、女性を主人公とした作品はいくつかあり、何かを成した女性の生涯を追っていくのか、と思いきや浦沢直樹節が徐々に顔を覗かせてくる。
『MONSTER』のような得体の知れない不気味さ、『20世紀少年』のような風呂敷の広さ、とにもかくにも今後の展開が楽しみで仕方がない。
6.『ダンス・ダンス・ダンスール』
主人公・村尾潤平は中学二年生。幼い頃にバレエに魅了されるも、父の死をきっかけに「男らしくならねば」とその道を諦める。バレエへの未練を隠しながら格闘技・ジークンドーを習い、クラスの人気者となった潤平だが、彼の前に、ある日転校生の美少女・五代都が現れる。
母親がバレエスタジオを経営する都に、バレエへの興味を見抜かれ、一緒にやろうよと誘われるが――!?
幼い頃に一度あきらめたバレエの道を、とある出会いをきっかけに再び志す少年の物語。
バレエやダンスを題材にした漫画は最近増えているが、その中でも少年漫画かと思うほどとにかく作品全体の熱量がすごい。
迫力あるバレエ描写に加えてストレートな感情表現も多く、熱血スポーツ漫画と言っても良いかもしれない。
7.『風都探偵』
小さな幸せも、大きな不幸も、常に風が運んでくる風の街・風都。左翔太郎とフィリップはその風都で鳴海探偵事務所に所属する私立探偵である。「街を泣かせる悪党は許さない」という二人の元に、今日も数々の超常的な事件が持ち込まれる…!平成仮面ライダーシリーズ最高傑作との呼び声も高い『仮面ライダーW』が漫画に舞台を移して再始動!!
あの石ノ森章太郎原作、中でも平成仮面ライダーシリーズ最高傑作との呼び声も高い『仮面ライダーW』が現代の絵に乗って再び蘇る。
風の街・風都で私立探偵を営む左翔太郎とフィリップが、彼らの元に舞い込む事件を解決していくというもの。
ハードボイルドな探偵モノであり、仮面ライダーファンでなくとも楽しめる内容となっている。
8.『健康で文化的な最低限度の生活』
新卒公務員の義経えみるが配属されたのは福祉事務所。えみるはここでケースワーカーという生活保護に関わる仕事に就くことになったのだが、そこで生活に困窮した人々の暮らしを目の当たりにして――
福祉課でケースワーカーとして生活保護受給者と向き合う新人地方公務員の奮闘を描いた物語。
生活保護を扱うという唯一無二のテーマ性、生活保護受給者の現状をありのままに描いたリアルさ、現代社会の影の部分に焦点を当てており、その生々しさには訴えかけるものがある。
9.『土竜の唄』
谷袋署百観音前交番に勤務する警察官・菊川玲二は、揺ぎない正義感を持った熱い男だが、まっすぐ過ぎるがゆえにやり過ぎてしまうこともしばしば。この日も「万引き少女に過剰な身体検査をしたコンビニ店長に対して拳銃を向けた」ということで、署長から呼び出しを受けることに。すると署長の口からは、なんと玲二への懲戒免職勧告が飛び出して…
交番所勤務の若手警察官が、とあるきっかけで暴力団への潜入捜査を命じられ、モグラとして活躍する姿を描いた物語。
コミカルなキャラデザ・シーンが目立つが、破天荒さがクセになる。15年を超える超長期連載を果たしている漫画。
連載開始当時は『週刊ヤングサンデー』連載であったが、2008年に休刊されたことに伴い『スピリッツ』で連載されるようになった移籍組。
10.『忘却のサチコ』
ただ忘れるために…美食を求めて東へ西へ!佐々木幸子(ささき・さちこ)、29歳。職業、文芸誌編集者。仕事は順調、結婚も決まり、これまで完璧な人生を歩んできた。あの日までは…!!
美味しいものを食べた時に得られる”忘却の瞬間”を求めて、ありとあらゆる美食を追いかける!!絶品グルメ・コメディー、開幕!!
婚約者に逃げられてしまったアラサーOLサチコが主人公。そんなショックも美味しいものを食べることで、全て忘れて幸せを感じる姿が一話完結で描かれていく。
サチコは自ら完璧人間を謳いながら、随所に抜けている性格であるのが面白い。
またサチコが行く先々で出会う地方グルメにも触れられている点も良い。
「週刊スピリッツ」完結済みのおすすめ作品を紹介する
続いては過去に連載されていた、完結済みの作品から、14作品を紹介していきます。番号は通し番号にしておりますので、「11」から始まります。
11.『ラストイニング』/全44巻
関東某県にある彩珠学院高校野球部は、甲子園初出場で初優勝を果たした過去がある。しかし現在は毎年1、2回戦での敗退続き。元野球部監督の狭山校長は13年前の部員で、現在は悪徳商法で留置所に入っている鳩ケ谷を訪ね、新監督に就くよう依頼するが…。汗と涙ぁ…そんなモンいらねぇ!かつて名門、今は弱小の私立彩珠学院高校野球部にやってきた問題児監督・鳩ケ谷圭輔が、硬直しきった高校球界の常識を変える!!
頭脳派監督が高校の野球部を率いて甲子園を目指すという、監督を主人公にした珍しい野球漫画。
監督目線で試合の流れを引き寄せるような采配や、選手の個性を引き立たせるための練習方法に焦点が当てられているのがとても新鮮で面白い。
また試合の流れに重きを置いた頭脳戦、心理戦もさることながら、率いるチームのメンバーそれぞれにも成長していく過程が描かれているのも良い。
12.『20世紀少年』/全22巻
無事、2016年を迎えられた人類へ捧ぐ。作中では、2015年に人類は滅亡――以降、西暦は「ともだち暦」と改められる。まさに、今読むべき黙示録。
主人公が幼い頃描いた「よげんの書」が現実となり、日常に不可解な事件が頻発するようになった世界で、主人公の奮闘を描いた本格科学冒険漫画。
序盤〜中盤の謎が謎を呼ぶ展開、物語の鍵を握る”ともだち”をはじめ出てくるキャラの不気味さと不可思議さ、それを無理なくまとめ上げるキャラの描き分けと深堀。本当に終盤以外は文句の付けようがない神漫画。
それだけにひたすらにラストが惜しい!納得できない方は完結編という位置付けの『21世紀少年』も合わせて読んで見ると良い。
13.『チ。―地球の運動について―』
動かせ 歴史を 心を 運命を ――星を。
舞台は15世紀のヨーロッパ。異端思想がガンガン火あぶりに処せられていた時代。主人公の神童・ラファウは飛び級で入学する予定の大学において、当時一番重要とされていた神学の専攻を皆に期待されていた。合理性を最も重んじるラファウにとってもそれは当然の選択であり、合理性に従っている限り世界は“チョロい”はずだった。しかし、ある日ラファウの元に現れた謎の男が研究していたのは、異端思想ド真ン中の「ある真理」だった――
マンガ大賞2021で2位にノミネート。今大注目を浴びている作品で、中世ヨーロッパを舞台に、異端思想とされた地動説を追い求める人々を描いた群像劇。
物語にはフィクションが多分に含まれているので純粋な歴史マンガとは言えないかもしれないが、当時の真理とされた天動説を覆し地動説を立証すべく研究することに命を懸けた人々の熱量がとんでもない。著者の前作『ひゃくえむ。』でも感じたが、とにかくこの作者は読者を惹きつけるのが圧倒的にうまい。
14.『あさひなぐ』/全34巻
二ツ坂高校一年、東島旭(とうじま・あさひ)、15歳。中学まで美術部だった旭は、「薙刀は高校部活界のアメリカンドリーム!スポーツに縁のなかった人間でも全国にその名を轟かすことができる」といううたい文句に感激し、薙刀部に入部する。痴漢を蹴りで撃退する強き女、あこがれの先輩、宮路真春(みやじ・まはる)、同じ一年生で剣道経験者の八十村将子(やそむら・しょうこ)と長身が悩みの紺野さくら(こんの・さくら)…旭と仲間達“なぎなたガールズ”の強く!楽しく!!美しい!!!物語が始まる--
薙刀(なぎなた)という超マイナーな競技を題材にした珍しい熱血スポーツ漫画。
部活未経験の女の子が高校入学をきっかけに強くなりたい!という思いで薙刀部に入り、周りとともに成長して行く。
部活動は体力だけでなく精神力も育まれるの言葉をそのまま現すがごとく、最初はなよなよだった主人公が明らかに中盤から顔つきも変わってくる様は読んでいて引き込まれる。
15.『めぞん一刻』/全15巻
「一刻館」の住人と美人管理人の間で巻き起こる爆笑ラブ・ストーリー。
「一刻館」というアパートの下宿人である主人公五代裕作と、管理人である未亡人音無響子のラブストーリーを描いた高橋留美子によるラブコメ漫画。
ヒロインの響子さんを好きになれるか次第で評価が別れるところではあるが、主人公がひたすらにヒロインを想う気持ちが素直に描かれている。
また未亡人という複雑な立場でありながら、徐々に主人公に心開いていくヒロインの心理描写も控えめながらぐっとくる。
16.『ウシジマくん』/全46巻
丑嶋のもとを毎朝9時に訪れる「奴隷くん」と呼ばれる人々。それはパチンコ依存症の主婦たちのことで、丑嶋は彼女らに3万円の現金と引き換えに5万円の借用書にサインさせる。あらかじめ金利・手数料2万円を引いた上、1日3割もの暴利を課しているにも拘わらず、今日も彼の会社には哀れな訪問者が引きも切らない。
闇金融に関わる人間たちの生き様を通して、世の中の底辺・裏事情を赤裸々に描いた問題作。
誰もが陥る可能性のある闇金の裏世界をリアルに描きまくっているため、作品全体に陰鬱な雰囲気が色濃く立ち込めている。
だからこそ中毒性、やめられない魅力があるのだが、読む際には注意が必要でもある。
17.『恋は雨上がりのように』/全10巻
少女17歳。片想い相手は冴えないおじさん橘あきら。17歳。高校2年生。感情表現が少ないクールな彼女が、胸に秘めし恋。その相手はバイト先のファミレス店長。ちょっと寝ぐせがついてて、たまにチャックが開いてて、後頭部には10円ハゲのあるそんな冴えないおじさん。
青春の交差点で立ち止まったままの彼女と人生の折り返し地点にさしかかった彼が織りなす小さな恋のものがたり。
とある海辺の街を舞台に、年の離れたバイト先の店長に恋をする女子高生の姿を描いた恋愛漫画。
クールで感情表現が下手だけど美少女な主人公が、冴えないおっさんに恋をする様は、最初は違和感を覚えるかもしれないが次第に引き込まれていく。
セリフの少なさを表情や情景描写でカバーしつつ、余韻を含ませた大胆なコマ割りで読ませる部分が多い。特に街の風景がとても綺麗で、ここぞというときに心に響く。
18.『とめはねっ! 鈴里高校書道部』/全14巻
脅されて書道部に入部した大江縁と、だまされて書道部に入部した望月結希。一風変わった先輩たちに翻弄されて、これでいいのかと思う日々。それでも、ダイナミックでデリケートな書の世界は、かなり魅力的で… 文化系青春コメディー、It’s 書(SHOW) TIME!!
『モンキーターン』で有名な河合克敏の、その名の通り書道を題材にした漫画。
帰国子女の主人公と柔道強くて字が下手なヒロイン。一見書道とは無縁な二人が廃部寸前の書道部に入部して書道を学んでいく、というストーリー。
運動部だけでなく、文化部にも熱い青春があるんだ!と気づかせてくれる作品。同時に「書」の奥深さにも触れており、解説も含めて読むとより楽しめる。
19.『リボーンの棋士』/全7巻
プロ棋士養成機関・奨励会で、四段に上がれないまま26歳になった安住浩一は、年齢制限の掟により退会させられ、プロへの道を閉ざされた。そこからは、人から距離を置かれ、年下からも見下される日々。それでも安住は、明るく笑顔で前向きに振る舞った。嫉妬は、湧いてもそれをかき消した。そうしているうちに、眩いほどのプラスオーラが身についた。将棋を忘れて、この生き方でいいはずだ、とも一時は思った。しかし、人生から将棋を切り離せなかった。アマ棋士としてのリスタートを決意する、安住。その棋風は以前とは違う、まったく新しいものに進化していた。
奨励会の年齢制限によりプロの道を絶たれた主人公が、とあるきっかけから再びアマ棋士としての道を歩む将棋漫画。
特例でアマ→プロになれるかどうかは作品を通しての主題ではあるが、それ以上に愚直に夢を追いかける若者のひたむきさがよく描かれていて、作品全体として爽やかな印象を受ける。
正直これからというところで連載終了してしまったので、打ち切りであるとすれば残念でならない。
20.『月下の棋士』/全32巻
第51期名人戦、名人・大原巌と挑戦者・滝川幸治が熱海で第7局を戦っている時、東京・将棋会館に氷室将介という青年が現れる。プロ棋士になりたいという将介が手にしていたのは、伝説の棋士・御神三吉の推薦状だった。その推薦状を見たプロ棋士・虎丸は二段の坂東と将介を戦わせる。
続いても将棋漫画。こちらは対照的に天賦の才に恵まれた棋士が奨励会からプロ棋士を目指すというストーリー。
盤の裏から盤面を見せたり、駒を光らせたりする描写は他の将棋漫画にはない印象的な描き方。破茶滅茶な部分もあるが、昭和の勢いがある漫画だと感じる。
21.『ジャガーン』
交番勤めの警官・蛇ヶ崎晋太郎は同棲中の彼女と、このまま結婚して家庭を持って子供が生まれて――という未来をつまんなそうに思っている。ある日、目前に壊人(カイジン)が出現!!…と、その瞬間、右手に異変が…!!破壊と絶望の新ダークヒーロー、ビッグバン(爆誕)!!
ある日空から降ってきたカエルに身体を蝕まれ”壊人“となってしまった人間たちの戦いを描いたSFバトル漫画。
この手のジャンルでは「寄生獣」や「亜人」といった名作があるが、テーマ・設定がしっかりしておりストーリーは王道展開。また壊人の能力を盛り込んだバトルシーンは迫力満点で読者を魅了する。
ヒロインも可愛くエログロ要素も多いのが上述の過去作品との明確な違いか。
22.『猫のお寺の知恩さん』/全9巻
のどかな田舎の高校に進学した源(げん)。下宿先の、親戚のお寺で同居することになった3つ年上の知恩(ちおん)ねーちゃんは、しっかり者に見えてなんだかとっても無防備で……? ダサくて、3つ年上で、働き者で、あっけらかんといい感じな知恩さんとおくる、のどかでソワソワ縁側ラブコメ!
親戚の年上お姉さんと同居することになった男子高校生の高校生活を描いた日常ラブコメ漫画。
ヒロインの知恩さんは時にはどんくさい一面も見せるが、なんとも言えない魅力と色気を醸し出している。
田舎ののどかな風景や大きい日本家屋の背景描写も上手く、安心して読むことができる。
23.『スローモーションをもう一度』/全7巻
クラスではイケてるグループに属している、一見 リア充な高校一年生・大滝くん。だけど実は彼には、誰にも言えない「秘密」があった…それは、アイドルや歌、おもちゃなどの「80年代文化」が大好きということ!
自分が大好きなものを誰とも共有できず、一人だけで楽しむ毎日を送っている大滝くん。そんなある日、クラスで隣の席の地味な女の子・薬師丸ちゃんが自分と同じ「秘密」を持っていることを知って!?
イケメンでリア充な主人公大滝君と地味な女の子薬師丸。一見交わることの無い二人が、人に言えない80年代のアイドルや歌謡曲という共通の趣味を通じて次第に仲を深めていく。
ヒロインの薬師丸ちゃんがふっくらとして可愛く、まるで80年代のアイドルを具現化したようなキャラデザ。
漫画のタイトルにも曲名が引用されている中森明菜をはじめ昭和の歌謡曲が多数出てくるので、その辺が好きな人にはたまらない。
24.『新ブラックジャックによろしく』/全9巻
「じゃあ、君が腎臓をくれるの…?」超一流、永禄大学附属病院の研修医・斉藤英二郎。その最後の研修先は泌尿器科だった。先輩の看護師・赤城が腎不全を患っていることを知った斉藤は、彼女を救う唯一の手段“臓器移植”と向き合うことになる。「医者って一体、なんなんだ?」その切実な自問から始まった斉藤の熱い闘いは、いよいよ核心へ!!
「モーニング」で連載していた『ブラックジャックによろしく』の第二部に相当する医療漫画。
泌尿器科に異動した研修医の斉藤が臓器移植と向き合う、いわゆる「移植編」。第一部から引き続き現代医療や研修医制度の闇にズバズバと斬りこむ。
二次利用を自由化したり出版社ともめたり、作中以外の話題にも事欠かないが、漫画の質は間違いなく名作。
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