原田マハの自信を持っておすすめできる小説15作品をまとめて紹介する

作家でありながら、キュレーターとしても活躍されている原田マハさん。

彼女の作品は美術を題材にしたものから恋愛小説まで、多分野に渡りながら、どれも面白いと評判です。

そんな原田マハさんの小説を私が好きな順に勝手にランキング化してみました。

どれも面白いだけでなく心温まる作品ばかりですので、是非一読されることをおすすめいたします。

またこの記事で紹介している作品のほとんどが、電子書籍で配信されています。

どの電子書籍サービスを使えば良いか分からない!という方は、以下の比較記事をご参照ください。

 

原田マハとは -特徴的な経歴を持つ小説家-

 

原田 マハ(はらだ まは、女性、1962年7月14日 – )は、日本の小説家、キュレーター、カルチャーライター。東京都小平市生まれ。小学6年生から高校卒業まで岡山県岡山市育ち。岡山市立三門小学校、岡山市立石井中学校、山陽女子高等学校、関西学院大学文学部日本文学科、早稲田大学第二文学部美術史学専修卒業。馬里邑美術館、伊藤忠商事、森ビル森美術館設立準備室、ニューヨーク近代美術館に勤務後、2002年にフリーのキュレーターとして独立。
2003年にカルチャーライターとして執筆活動を開始し、2005年には共著で『ソウルジョブ』上梓。そして同年、『カフーを待ちわびて』で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞、特典として映画化される。mahaの名でケータイ小説も執筆する。
ペンネームはフランシスコ・ゴヤの「着衣のマハ」「裸のマハ」に由来する。兄は、同じく小説家の原田宗典。

 

彼女の特徴の一つとして、その経歴が挙げられることがしばしばあります。

関西学院大学、早稲田大学という一流大学を卒業しているという才女っぷりに加えニューヨーク近代美術館に勤務していたかと思いきやその前には伊藤忠商事?!ほんまもんのエリートじゃ無いですか・・・といった具合。

幼い頃から父の影響で美術に触れ、また兄の影響で文学に興味を持ち、今日の原田マハの根幹が形成されていったのでしょうか。

 

原田マハの自信を持っておすすめできる小説15作品を紹介する

 

ここからは私が読んだことのある原田マハ作品を”短編以外で”ランキング化しましたので、まとめて紹介していきます。

なお、このブログでは他にも「小説」をキーワードにした記事を書いております。是非合わせてご覧ください。

 

1.『楽園のカンヴァス』

ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。そこで見たのは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵。持ち主は正しく真贋判定した者にこの絵を譲ると告げ、手がかりとなる謎の古書を読ませる。リミットは7日間。ライバルは日本人研究者・早川織絵。ルソーとピカソ、二人の天才がカンヴァスに篭めた想いとは―。山本周五郎賞受賞作。
「BOOK」データベースより引用

文化施設などで鑑定や研究を行うキュレーターという職業に焦点を当てた小説で、ある日主人公がルソーの絵画「」に酷似した作品の真贋判定を求められるというストーリーです。
前述したように著者自身MoMA(ニューヨーク近代美術館)のキュレーターとして勤務しており、その経験が十二分に生かされた小説です。小説家原田マハの代表作品と言ってよいでしょう。
絵画の知識をふんだんに取り入れながらもその分野に疎い読者も置いていかない丁寧な説明に加え、アートの要素を抜いても導入〜ラストまでミステリーとして素晴らしい出来となっています。
本来ミステリー作家というわけでもなく、別ジャンルでの代表作も多数ありますが、アート×ミステリーこそが原田マハの真骨頂なのではないかと思っています。


 

2.『本日は、お日柄もよく』

OL二ノ宮こと葉は、想いをよせていた幼なじみ厚志の結婚式に最悪の気分で出席していた。ところがその結婚式で涙が溢れるほど感動する衝撃的なスピーチに出会う。それは伝説のスピーチライター久遠久美の祝辞だった。空気を一変させる言葉に魅せられてしまったこと葉はすぐに弟子入り。久美の教えを受け、「政権交代」を叫ぶ野党のスピーチライターに抜擢された!目頭が熱くなるお仕事小説。
「BOOK」データベースより引用

主人公のOLこと葉が、とあるきっかけでスピーチライターを目指すことになる、というストーリー。
物語の冒頭、主人公が弟子入りすることになる久遠のスピーチは誰もが衝撃を受けるでしょう。結婚披露宴や会社、選挙など様々な場面で力を発揮するスピーチライターを通して、言葉の持つ魅力を随所に感じることが出来る作品となっています。
登場人物も気持ちの良い人物が多く、ラストも作品タイトルに絡めて爽やかな終わり方となっているため、すっきりとした読後感を味わうことができます。


 

3.『たゆたえども沈まず』

19世紀後半、栄華を極めるパリの美術界。画商・林忠正は助手の重吉と共に流暢な仏語で浮世絵を売り込んでいた。野心溢れる彼らの前に現れたのは日本に憧れる無名画家ゴッホと、兄を献身的に支える画商のテオ。その奇跡の出会いが“世界を変える一枚”を生んだ。読み始めたら止まらない、孤高の男たちの矜持と愛が深く胸を打つアート・フィクション。
「BOOK」データベースより引用

19世紀のパリを舞台に、ゴッホと日本人画商との出会いをきっかけとした物語です。
特徴としてはゴッホとテオの兄弟や画商林忠正など実在した人物を登場させながら、物語自体はフィクションである点です。林とゴッホに交友があった史実はありませんし、重吉という助手も実在しない人物と言われています。
他のアートを題材とした作品とは異なり、現代を絡めた作品ではなく、19世紀のパリを舞台に描かれています。印象派とアカデミーといった当時の美術界の動向や、浮世絵などの日本美術にも詳細に触れています。
またそれだけでなく、ゴッホや関係者の人物描写もこれまでの作品以上に深みが増しており読み応えは抜群。2018年の本屋大賞第4位の作品です。


 

4.『風のマジム』

派遣社員から女社長に。日本初の純沖縄産ラム酒を造りたい!すべての働く女性に勇気を与える奮闘記。
「BOOK」データベースより引用

沖縄を舞台に、サトウキビを原料にした純国産(沖縄産)のラム酒を作ろうと奮闘する女性の物語です。
この物語は実話がベースとなっていて、モデルとなった人物も実在します。それは株式会社グレイス・ラムの社長である金城祐子氏。
彼女は沖縄電力の社内ベンチャー制度(MOVE2000プログラム)を活用し、沖縄のサトウキビで世界に通用するラム酒を作るため会社を設立し、成功を収めました。
こう書くとあっけないサクセスストーリーに聞こえますが、社内コンクールでの優勝というチャンスを手にするまでの過程と、それをモノにするまでの苦労がしっかりと描かれています。
主人公の、文字どおり体当たりで人にぶつかっていき人を動かそうとする様は胸を打たれますし、異なる環境でもチャンスを掴むための秘訣であると考えさせられます。
お酒を好む人だけでなく、働く全ての人におすすめできる爽やかな小説です。


 

5.『リボルバー』

「ファン・ゴッホは、ほんとうにピストル自殺をしたのか? 」 「――殺されたんじゃないのか? ……あのリボルバーで、撃ち抜かれて。」ゴッホとゴーギャン。生前顧みられることのなかった孤高の画家たちの、真実の物語。
「BOOK」データベースより引用

ゴッホとゴーギャン、ポスト印象派を代表する2人の画家に焦点を当て、ゴッホの死に大胆な仮説を加えたフィクションです。
主人公はフランスのオークションハウスに勤務する日本人女性で、彼女の元にゴッホの自殺に使用されたとされるリボルバー(小銃)が持ち込まれるというところから物語が始まっていきます。
主人公が関係者への聞き込みや、自身の持つゴッホとゴーギャンに関する知識を元に次第に真相に迫っていく様子は、史実を知っていてフィクションと分かっていてもドキドキします。
また2021年には国内で舞台化されましたが、そもそも本作品は舞台化ありきで執筆された小説とも言われています。独白シーンが続く後半は確かに他の作品とは異なる印象を受けますし、舞台向きかもしれません。

ゴーギャンはモームが『月と六ペンス』という小説で題材にしたことでも知られています。海外文学のおすすめ記事も参考にしてみてください。


 

6.『総理の夫』

20××年、相馬凛子は42歳の若さで第111代総理大臣に選出された。鳥類学者の夫・日和は、「ファースト・ジェントルマン」として妻を支えることを決意。妻の奮闘の日々を、後世に遺すべく日記に綴る。税制、原発、社会福祉。混迷の状況下、相馬内閣は高く支持されるが、陰謀を企てる者が現れ…。凛子の理想は実現するのか?感動の政界エンタメ!
「BOOK」データベースより引用

史上初の女性総理が誕生した日本を舞台に、ファースト・ジェントルマンとなった夫に焦点を当てた小説。
理想を実現させるため総理としての仕事に忙殺される主人公を、陰から支える夫の目線で、形式も夫の日記という形で物語は進んでいきます。
政党や登場人物は架空のものであり、政治をテーマにした作品というよりは、女性総理大臣と総理の夫、一組の夫妻を描いたエンターテイメント性の高い作品に仕上がっています。
非常に読みやすく爽快感もあり、2021年には映画化もされた人気作品です。


 

7.『キネマの神様』

39歳独身の歩は突然会社を辞めるが、折しも趣味は映画とギャンブルという父が倒れ、多額の借金が発覚した。ある日、父が雑誌「映友」に歩の文章を投稿したのをきっかけに歩は編集部に採用され、ひょんなことから父の映画ブログをスタートさせることに。“映画の神様”が壊れかけた家族を救う、奇跡の物語。
「BOOK」データベースより引用

アラフォーのキャリアウーマンが会社をやめ、父親の借金が発覚したことから映画コラムを執筆することになる。タイトルの通り「映画」をテーマにした小説です。
ニュー・シネマ・パラダイス』や『ライフ・イズ・ビューティフル』といった往年の名作が登場します。最近はこういった作品もネットで見ることが出来るようになり身近に感じる一方、映画館で見ることの贅沢を再認識もします。
家族の絆を感じる後半は涙無しには読めません。2021年には山田洋次監督により映画化もされた作品です。


 

8.『旅屋おかえり』

あなたの旅、代行します!売れない崖っぷちアラサータレント“おかえり”こと丘えりか。スポンサーの名前を間違えて連呼したことが原因でテレビの旅番組を打ち切られた彼女が始めたのは、人の代わりに旅をする仕事だった―。満開の桜を求めて秋田県角館へ、依頼人の姪を探して愛媛県内子町へ。おかえりは行く先々で出会った人々を笑顔に変えていく。感涙必至の“旅”物語。
「BOOK」データベースより引用

通称”おかえり”、冴えないアイドル丘えりかが、とあるきっかけから旅行に行けない人の代わりに旅をする「旅屋業」を営む、というストーリー。
現実味が無いと言ってしまえばそうかもしれない、ですがそんな設定を笑いあり涙ありのハートフルな物語に変え、読者をぐいぐいと引き込んでいきます。
旅先での思いもよらない出会い、現地で出会う人々の温かさ、旅の良さが詰まった小説です。
2021年には続編として、札幌・小樽編が『丘の上の賢人 旅屋おかえり』が出版されています。こちらも合わせて読んでみてください。


 

9.『奇跡の人』

アメリカ留学帰りの去場安のもとに、伊藤博文から手紙が届いた。「盲目で、耳が聞こえず、口も利けない少女」が青森県弘前の名家にいるという。明治二十年、教育係として招かれた安はその少女、介良れんに出会った。使用人たちに「けものの子」のように扱われ、暗い蔵に閉じ込められていたが、れんは強烈な光を放っていた。彼女に眠っている才能を開花させるため、二人の長い闘いが始まった―。著者渾身の感動傑作!
「BOOK」データベースより引用

明治時代の東北地方を舞台に、目も耳も口も不自由な三重苦に悩む少女の教育に、アメリカ帰りの才女が挑む物語。
この設定だけでもピンと来る方は多いかもしれませんが、登場人物の名前からも分かる通り本作品はヘレン・ケラーアン・サリヴァンの物語です。
実話をベースとした作品ではありますが、舞台は明治時代の青森。津軽三味線と重要無形文化財(人間国宝)という原田マハならではとも言える”芸術“の要素を足して、オリジナルの作品にしています。
加えてキワという少女の存在が物語をより深く、メッセージ性の強いものにしています。友へ伝えたいこととは何か。ラストは涙が止まりません。


 

10.『暗幕のゲルニカ』

ニューヨーク、国連本部。イラク攻撃を宣言する米国務長官の背後から、「ゲルニカ」のタペストリーが消えた。MoMAのキュレーター八神瑶子はピカソの名画を巡る陰謀に巻き込まれていく。故国スペイン内戦下に創造した衝撃作に、世紀の画家は何を託したか。ピカソの恋人で写真家のドラ・マールが生きた過去と、瑶子が生きる現代との交錯の中で辿り着く一つの真実。怒涛のアートサスペンス!
「BOOK」データベースより引用

1930年代のスペイン内戦時代にゲルニカを描くピカソと、2000年代9.11前後でピカソを研究しているヨーコ。二つの時代をいったりきたりしながら物語は進んでいきます。
ゲルニカが生まれた歴史的背景を知るだけでなく、作品に込められたピカソの想いや、スペイン内戦と9.11後の現代を通して「反戦」を強く訴えかける力作となっています。


 

11.『まぐだら屋のマリア』

東京・神楽坂の老舗料亭「吟遊」で修業をしていた紫紋は、料亭で起こった偽装事件を機にすべてを失った。料理人としての夢、大切な仲間。そして、後輩・悠太の自殺。逃げ出した紫紋は、人生の終わりの地を求めて彷徨い、尽果というバス停に降り立った…。過去に傷がある優しい人々、心が喜ぶ料理に癒され、紫紋はどん底から生き直す勇気を得る。
「BOOK」データベースより引用

とある事件で傷付いた若者が、流れ着いた地方の食堂で心を癒し再生していく物語。
タイトルはマグダラのマリアからもじったものでしょう。ヨハネやシモン、マルコといった登場人物からも容易に想像が出来ます。
マグダラのマリアから着想を得たのか不明ですが、そこから長編小説に仕立ててしまうところが小説家原田マハの世界であり、凄さなのだと思います。
食堂での調理や食事のシーンは非常に温かみを感じますし、集落の人々との触れ合いを通して人としての生きる力を取り戻していく若者の姿には心を動かされる場面もあります。読みやすいですが読み応えのある作品です。


 

12.『カフーを待ちわびて』

もし絵馬の言葉が本当なら、私をあなたのお嫁さんにしてください―。きっかけは絵馬に書いた願い事だった。「嫁に来ないか。」と書いた明青のもとに、神様が本当に花嫁をつれてきたのだ―。沖縄の小さな島でくりひろげられる、やさしくて、あたたかくて、ちょっぴりせつない恋の話。
「BOOK」データベースより引用

原田マハの小説家デビュー作にして、第1回日本ラブストーリー大賞を受賞した恋愛小説です。
恋愛小説は珍しい!と思うかもしれませんが、主人公の性別が男性である点も合わせて2重で珍しい作品と言えるかもしれません。
これぞ沖縄!というのんびりとした空気を作品全体に漂わせつつ、予想外の展開も交えながら最後にはしっかり感動させてもらえる。読後感の良い作品です。


 

13.『生きるぼくら』

いじめから、ひきこもりとなった二十四歳の麻生人生。頼りだった母が突然いなくなった。残されていたのは、年賀状の束。その中に一枚だけ記憶にある名前があった。「もう一度会えますように。私の命が、あるうちに」マーサばあちゃんから?人生は四年ぶりに外へ!祖母のいる蓼科へ向かうと、予想を覆す状況が待っていた―。人の温もりにふれ、米づくりから、大きく人生が変わっていく。
「BOOK」データベースより引用

いじめられ、引きこもりとなり気づけば24歳。母がある日いなくなったことをきっかけに、4年ぶりに外に出ることになった主人公。外での生活を通して、次第に精神的に成長していくというストーリーです。
蓼科の祖母をはじめ温かい人々の暮らしに触れ、素直な心を取り戻していく過程が米つくりとともに描かれます。
デリケートな話題を扱いつつ、全体的には心温まるお話にうまく仕上がっています。読み終わった時に明るい気持ちになれる作品です。


 

終わりに

 

色々紹介しましたが、原田マハ作品の魅力は、読んだ後幸せな気持ちになれることだと思います。一作や二作ではなく、おおよそ全ての作品に共通して言えるということが何より素晴らしいことだと思います。

 

私は短編があまり好きではないですが、短編も面白いです。ここでは番外編として、2つ短編集を紹介します。

 

14.『ジヴェルニーの食卓』

ジヴェルニーに移り住み、青空の下で庭の風景を描き続けたクロード・モネ。彼の目には何が映っていたのか、義理の娘、ブランシュの視点から描いた表題作を含め、印象派の巨匠たちにまつわる4つの物語です。芸術家たちの苦悩や葛藤と言った素顔が見られる、フィクションと史実を織り交ぜた作品です。

15.『モダン』

ニューヨーク近代美術館、通称MOMAで働く人々を主人公にした短編集。「楽園のカンヴァス」や「暗幕のゲルニカ」にも繋がる部分があり、読んでてワクワクします。個人的には「私の好きなマシン」がお気に入り。スティーブ:ジョブズの「これからのコンピューターはデザインが優れて居なければ、美しくなければ意味がない」という言葉が印象的です。

 

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